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2023年12月12日(火)今はまだ「幼馴染の妹」ですけど(涼暮皐)を読んだ

今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。1巻・2巻

『今はまだ幼馴染みの妹ですけど。』の1巻・2巻を読んだ。代償を支払うことで星に願いを叶えてもらう物語だ。想像より手厳しい話だった。軽薄と言えるくらいののほほんとした空気を漂わせておきながら油断した隙に圧潰しようとしてくるタイプの物語は大好きだ。とはいえこのシリーズは冒頭からあやしい言葉も多くて親切ではあったかなと思う。嫌な予感が垣間見えていて、そこもよかった。タイトルの段階では油断させられていた。

ありがちというと言葉は悪いが、既定路線ようなトラブルはさほど好きじゃない。想像を超えてきてくれたほうが嬉しい。緊迫感と緊張感には胸が躍る。ラブコメでいうなら、避けようのない残酷なすれ違い、追い詰められて漏れ出た苦悶と悲鳴、虚しく儚い大喧嘩、といったものが好きだなと思う。追い詰められた場面でのギリギリの判断まで見せていただかないと登場人物たちの造形がうまく頭の中に残せない、という言いかたもしてよい。ぼんやりした生活の圏内だけだとどうしても十把一絡げに見えてしまうというか。あと、異質と言ってよいくらいの尖鋭的な者の、とがり具合が、しかしそのおかげで、誰かの苦しみに奇跡的に気づくことのできるストーリーが好きだ、というのもある。

いずれにしてもよいシリーズとの出会いだった。続きが楽しみ。4巻で完結しているらしいことは残念だ。打ち切り的な半端な終幕ではなく、計算された冊数であることを期待したいところ(打ち切りでも綺麗に終わらせる作家もいるが)。

ひとまず1巻でほどほどのところに落ち着いたかに見えた物語だったが、あくまで見せかけであり、むしろ、そこからが始まりであって、問題がさらに拡がっていく、という構造にはいつだってワクワクさせられる。好きなシリーズ物のかたちのひとつだ。なんとなく誰も信用できなそうなところも、とはいえ誰も彼もいいやつっぽいところも、素敵な要素だなと思う。しかし2巻の終わり、3巻への引きはよかったな~。サクサクと次を読もう。

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