世界は称賛に値する

日記を書きます

2024年05月07日(火)日記文化圏のジン

ジン

自主制作的な少部数の出版物を「ZINE/ジン」という言葉で示す文化圏があるようだ。今回初めて知った。リトルプレスという言葉もあわせて知った。同人誌とジンの線引きは難しいところもみたいだけど、用いるときの空気・文脈が、きっとかなり違うんだろう。下手に混同したら(というか、乱暴にあつかったら)愛好家たちから白い目で見られるやつだと思う。こういう「厳密な意味合いでいえば、グラデーション型なので、きれいに区切れないけれど、愛好家間ではしっかり区別されている(区別したいと感じられている)」言葉は、難儀もするけど、なんだかんだ好きかな。愛も偏屈も感じられるし。

時系列

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一方、日記はその日に起きたことや感じたことを、朝から夜に向かって順番に書いていけば、それだけで1本のテキストができあがる。ひとが読んで面白いかどうかは、まずは気にしなくていい。それより、本当に自分にとってしっくりくる表現ができているか意識するほうが大事。その作業を繰り返せば、だんだん自分にしか書けないものに必ずなっていく。それは、自分が書く意味があるということと同じだ。

そして10日続ければ10日分の、100日続ければ100日分のテキストになって、1冊にまとめるのに十分な分量になる。

ただ時系列に出来事を記していけば、日記は「日記」になってくれる。内容に意識を割かなくてもよい。そしてそのぶん、表現に集中することが許される。おのれにとって最も快い言葉の連なりを探すための空間を提供してくれる。といった「日記」に関する推薦文が書かれていて、たいへん素敵な切り口だなと感じた。ただ時系列に書けばよい、と言われても、なにを思い出せるか、なにを書くか、という編集的な思惑を、結局は(少なくともぼくの場合は)交えてしまうところはあるのだけれど、こういった指針で書いてみるのも、悪くない。言葉選びにだけ注力できる空間は素直におもしろそうだった。

日記のおもしろがれるところについて、ほんとうにいろんな角度から照らし出していて、非常によい本だった。偶然の出会いだったけど買ってよかった。