世界は称賛に値する

日記を書きます

青春のバナジウム2/23木

陽キャになった俺の青春至上主義(持崎湯葉)

持崎湯葉の『陽キャになった俺の青春至上主義』を読んだ。GA文庫の金賞受賞作。BookWalker読み放題で「GA文庫大賞の受賞作が読めます」キャンペーンが行なわれていたので、気になって手を伸ばした。結論からいえば非常におもしろかった。次巻が出たら即座に買うつもりである。

暗い人格だった過去を乗りこえて”陽キャ”になった主人公が、”陰キャ”であるヒロインを振るところから始まるストーリー。このヒロインの人物描写がかなりよかった。また、主人公が陰キャを脱却し陽キャになったという事実が、物語の根幹から少しズレた位置に置かれている印象があって、そこも新しくてよかった。言うほど悩まないというか、あまり暗いものを引き摺っておらず、結果として、巨大な問題として立ち上がってこない状態だった。陰キャだった過去を、コミュニケーションと、人を助ける手段には使うけど、それだけというくらいの印象である。陰キャ意識をこれくらいのバランスで取り扱うのは珍しい印象だ(今後またどうにかこうにか転がしていく可能性はあるけど)。端的に文章も上手くて楽しめた。こういう書き手だと、どういう話を書いてくれても読んでみたい、と思えるので、続刊でも新刊でもよいから別の作品を読ませてほしい、って感じる。

作者:持崎湯葉 イラスト:にゅむ 出版:GA文庫

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ライトノベルレーベル

昔は比較的たくさんのライトノベルを読んでいたので、レーベルごとの肌感覚も持っていたと思うのだけど(それが妥当だったかは不明)、最近は読む機会も減り、空気がわからなくなった。古参になりつつあった角川スニーカー文庫と富士見ファンタジア文庫が少し野暮ったくなってきたところで、新参の電撃文庫がやってきて、その横でスーパークエスト文庫やログアウト冒険文庫が跋扈していた時代なんて完全に過去の産物だし、徳間デュアル文庫が妙に魅力的だったし、MF文庫Jが可愛い女の子特化型だったイメージすら最近は通用しないようである。