読み返したいもの
雑誌「文藝」2025年春号の特集が「日記 記憶と記録」で、おもしろそうだな、と思って手に取った。いまさらな気もするけれど、ここ最近、「日記」の波が来ている気はしている。見かける機会も多い。一定以上の熱を感じる。
くどうれいん氏が、この「文藝」の特集のなかで、著書『日記の練習』について、「読み返したいものだけを記録する日記として、一年間続けた」と書かれていて、なんとなくビックリした。「読み返したい」という基準で出来事を選り分けて記録していく、という、日記に関する手つきとかまなざしが、意外と新鮮だった。なぜか思いついていなかった。ぼくの場合、言うなれば、そのとき気になったことだけを書き残してきた日々であった。「ぐうぜん気になったかどうか」というところに、ずっと軸足があった。
にわかくらい
"にわか"くらいの情報量でお熱を上げているタイミングが意外と大切なんじゃないかな、と、ちょっと思った。まだ数ページしか目を通していない楽しげな本とか、出会ったばかりの素敵な作品とか、好きになった直後の人物とか、それくらいの、正直まだぜんぜん慣れ親しんではおらず、詳しいことも知らないのだけど、好きスイッチは明らかに入った、という頃合いの気持ちって、ぎくしゃくはしていて、けれど妙に生々しく、溌剌としていて、夢もある。そこから得られる独自の栄養素や温かみもあって、なかなかに素敵だ。レアな場面に立ち合ってるなと思う。

