世界は称賛に値する

日記を書きます

2024年06月13日(木)足止めの本屋さん

仕事帰りの買い物

仕事帰りに電車の遅延に遭遇した。混雑具合はひどかった。ホームに人があふれていた。珍しい経路で迂回した。様子見のあいだ、書店に立ち寄る時間を取ることができて、嬉しい気持ちにはなった。『哲学史入門I 古代ギリシアからルネサンスまで』(NHK出版新書)を買った。「最近すごく気になっている」と言える書籍が、常に、いくつかは頭の中にある。機が熟すのを待っている。直近での、「欲しい気持ちの強まり待ち」の書籍のひとつが、これだった。買い物をするのも、紙の本に触れるのも、哲学まわりの言葉を読むのも、ストレスで固まった精神をほぐしてくれるところはある。よかった。

哲学史入門Ⅰ 古代ギリシアからルネサンスまで

哲学史入門Ⅰ  古代ギリシアからルネサンスまで (NHK出版新書)

哲学の入門書は無数にある。そして、日々、新たなものがそこに加わってきている。さまざまなコンセプトが、これまでになかった「入門」に向かうための道を、新たに切り拓いてくれている。本書は、「いまどきの哲学研究の第一人者たちに、専門領域について、インタビュー形式で語ってもらう」というやりかたによって、実践的な息づかいがまざまざと感じられる、活き活きとした哲学を提示しよう、といったコンセプトによってつくられた入門書のようだった。

「学びかた」から語り始められているところは、まず、かなりよかった。それを語る千葉雅也氏の説明の丁寧さも素敵だと感じた。千葉雅也氏の語り口はかなりよい。好奇心の引き立てかたと、それを為すための素材と角度が、秀逸、っていう印象である。著書を読みながらそんなふうに判断していたが、本書の序章でも、同じ"よさ"が感じられた。

「専門領域について」それぞれが語る、という形式を選んでいるところも、よい結果を出していそうに見えた。気持ちのよい濃密さを予感した。新たな入門書のコンセプトとして、珠玉とまで言ってよいかはわからないが、図抜けたところはありそうだと感じた。今後、2巻・3巻と続いていったあとに、総評としてどうなるかはわからないけれど、同じくらいの素晴らしさは期待したい。

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