世界は称賛に値する

日記を書きます

お金持ちになれる人(邸永漢)P.15

お金持ちになれる人 (ちくまプリマー新書)

お金持ちになれる人 (ちくまプリマー新書)

《80点》

 お金持ちになるためには欲しい物は何でも買ってしまう気持ちを抑えられるように自分を訓練する必要があります。ところが、世の中が豊かになると言うことは、人々が欲しがる物がいくらでも次から次へとできてくることですから、商売をやる人は物を買ってもらわなければ困ってしまいます。買いたくない人にもどうやって買ってもらうか工夫することが商売上手だということになります。
 そういう商売上手の誘いの手に乗らず、自分の欲望をコントロールできる人が将来のお金持ちになる人ですが、むろんそういう人たちは少数派に属します。お金持ちになる人がそんなに多くないのは当然のことなのです。したがって、商売人のあの手この手に乗ってうまく踊らされるのは、自分の欲望をコントロールできない絶対多数派だということになります。
 物を売る側にして見れば、何が何でも買ってもらわなければなりませんから、色々と知恵をしぼって購買欲をそそるように仕向けてきます。それでも克己心のある人は、そう簡単には降参しません。結局、誰が買うかというと、お金は持っていないけれども、買いたい衝動を抑えきれない人たちだと言うことになります。
 お金のない人は収入のない人ではなくて、収入があってもすぐに使い果たしてしまう人のことです。そういう人たちは、お金さえあればすぐにでも使ってしまうことを躊躇しませんから、支払いはあとまわしでよろしいということになれば、すぐにとびついてしまいます。月賦販売はそうした商法のハシリでしたが、その後、さらにカードが普及し、現金を持っていなくともサインさえすれば買物ができるようになりました。まだ入ってきていない未来の収入まで使わせることを思いついた人は、人がなぜ貧乏するかを熟知していた人に違いありません。