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『マインド・クァンチャ』森博嗣 を読みました

マインド・クァンチャ - The Mind Quencher

マインド・クァンチャ - The Mind Quencher

「そうです。自分の身を守るものが刀だと、言葉にはしましたが、これも、本当は間違っている。身を守るとは、すなわち、目前の敵を倒したのちの結果にすぎません。ですから、今拝見したような、相手の振りを棒で止めることは、無駄と言えます。相手の攻撃を止めることをいくら繰り返しても、相手はまた出てきます。そのうちに、打たれるでしょう。そうではなく、打ってきたら、同時に敵を打つ。その一撃で相手を倒すことができれば、一回の振りで身を守れます。一回で済めば、その次の敵にただちに向かうことができます」
──P.231 第三章

▼▼著者の諸々の小説達がこのシリーズに繋がっていってくれた、結実してくれた、というような印象を持ってしまうな。読めて幸せ、って気持ちが強すぎるからだろう。あとまあ、結実、と言っても、接合や集合、膨張、といった印象ではないか。沢山の小説を書き記してきた結果の、残滓が、結晶化した、というような印象を抱いている。いずれにせよ滅茶苦茶好きな小説だ、と言えるようになった。第五巻の今回で、おそらく完結。
▼▼剣と侍と強さと美しさ。▼▼の物語、って言葉を付与できるほど図太くない、なんてふうには思った。剣と侍と強さと美しさについての話が、単に、好きだった。
▼▼『スカイ・クロラ』のような、静謐な美しさ、を一旦見せておいてから、こんなふうに別種の静けさと美しさを見せてくるなんて、って驚きがある。
▼▼哲学の人と文学の人──哲学と文学を前にした、思考、志向、言葉、認識、って切り口のことを、最近少し考えている。思考の材料にこの小説を混ぜたくはなる。