世界は称賛に値する

日記を書きます

嘘つきを思い出した4/13木

クビシメロマンチスト

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人を愛することは容易いが、人を愛し続けることは難しい。人を殺すことは容易くとも、人を殺し続けることが難しいように。生来の性質としか言えないだろう、どのような状況であれ真実から目を逸らすことができず、ついに欺瞞なる概念を知ることなくこの歳まで生きてきてしまった誠実な正直者、つまりこのぼくは、5月、零崎人識という名前の殺人鬼と遭遇することになった。それは唐突な出会いであり、また必然的な出会いでもあった。そいつは刃物のような意志であり、刃物のような力学であり、そして刃物のような戯言だった。その一方で、ぼくは大学のクラスメイトとちょっとした交流をすることになるのだが、まあそれについてはなんというのだろう、どこから話していいものかわからない。ほら、やっぱり、人として嘘をつくわけにはいかないし――戯言シリーズ第2弾

西尾維新『クビシメロマンチスト』を再読した。刊行当時(2002年)に読んだきりだった。戯言シリーズを読み直そうとしている。物語の時系列としては前作『クビキリサイクル』の鴉の濡れ羽島での事件から二週間後だ。主人公"いーちゃん"が私立鹿鳴館大学のクラスメイトたち、および、ひとりの殺人鬼と繰り広げる悲喜こもごもの事件の物語と言える。言えるかなあ。悲喜こもごもにおける"角度"というか"側面"というか、そのあたりがなかなか斜に構えた話だった。こんな話だったなと思い出した。たいへんおもしろかった。ちなみに序盤の展開と葵井巫女子の口癖と犯人と零崎人識くらいは憶えていた。零崎の読みかたをずっと「ゼロサキ」と勘違いしていたことは今回知った(正確にはゼロザキだった)

『クビキリサイクル』を再読したときには、文章があまりこなれていないと感じた気する。比べると読みやすかった。今後『化物語』で読みやすさもおもしろさも結実するというイメージなので、読んでいくにつれてどんどんクオリティが上がっていくんじゃないかな~、と想像している。逆に言うと、クビキリもクビシメも、こんな感じだったっけ、と思うところはあった。ただ、いずれも、落ちがよかった。落ちで締まった。そりゃおもしろいって読後感になるわ~、って思った。

表紙

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