カクレカラクリ An Automaton in Long Sleep (MF文庫ダ・ヴィンチ)
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2009/08/21
- メディア: 文庫
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人は作為によって人となる。
獲物を獲るための罠を仕掛ける、
その形と結果を頭に思い浮かべるとき、
人間の脳は大きくなった。
――P.8ときとして世に姿を現す不思議なる対象とは、さらに大きな隠れたものの一部であるか、あるいは、さらに小さなものが集まって一つに見えたか、のいずれかであろう。どちらにしたところで、人間の思い過ごし、つまりは見誤りであることにちがいはない。
――P.22否、鍵を作るにしても、壊して開けるにしても、宝があると思って開けた者に対するメッセージだと考えて良いだろう。事実、あそこが開いても中身は空っぽ、わけのわからない文字だけが書かれていたことで、拍子抜けだったのは確かだ。
たぶん、そんなふうに拍子抜けの感情を抱くことさえ、天才絡繰り師だったら、計算していたにちがいない。
何を考えれば良い?
磯貝機九郎が残したメッセージは?
――P.243▼▼隠れ絡繰り。天才絡繰り師。何処かに眠る財宝。天才が何を考えたか。伝えたかったもの。伝統。伝説。嫌いあう二つの家系。朽ち果てた意思。錆びたスティール。剥がれかけた塗装。廃墟。コカコーラ。120周年記念の物語。人間。可能性。自然へ立ち向かうものとしての人工。可能性。異形とか異様というほどの楽しみはないかもかな。でも、わりと信頼があるので深みは深読みできる。あと、こういうの、わりと、恋愛小説だと認識してしまう習慣があるな。地味に、泣けるよなあ、って思ってしまう感じだ。《80点》