世界は称賛に値する

日記を書きます

勤務先そば、商店街の古本屋

「1」カクレカラクリ

カクレカラクリ An Automaton in Long Sleep (MF文庫ダ・ヴィンチ)

カクレカラクリ An Automaton in Long Sleep (MF文庫ダ・ヴィンチ)

 ディーゼルカーに乗っている間は、バニラの香りに包まれた夢のような時間だった。郡司と栗城は、進行方向を背にして並んで座っていた。窓側が栗城だ。対面するシートに真知花梨がいる。彼女は窓の外を眺めていた。男子二人も、車窓の風景を眺めるつもりなのだが、気がつくと彼女を観察しているのだ。光は直進するはずなのに、不思議な現象といえる。
 花梨の隣に、大きな風呂敷を膝にのせた老婆が途中から座ったことで、風景の完成度が僅かに崩れたかに見えたけれど、もちろんだからといって文句を言うわけにもいかない。しかも、その老婆が、郡司たち二人にいろいろ尋ねてくるので、これには辟易した。だいいち、質問の言葉の半分は聞き取れないのだ。何度も聞き返し、幾度かは花梨が通訳をしてくれた。彼女の言葉になった途端にきちんと答えたくなってしまうから不思議である。

▼▼相変わらずだけど相変わらず好きだと言えるよってことでもある。登場人物っていうか主人公が結局格好良い、ってところが好きなのかなと少し考えた。最近はなぞりでもよいなと感じている。深く刻みたいとか馴染ませたいとか考えているせいだろう。