世界は称賛に値する

日記を書きます

ガンパレード・マーチ

高機動幻想ガンパレード・マーチ

高機動幻想ガンパレード・マーチ

「我らが、まだ幼かった時代。
 まだ幼くて、人々のために涙する以外に知らなかった時代。
 まだ我らが世界の記憶でしかなかった頃。
 深紅の布を腕に巻いた、ヒーローがいた。
 我らが、テンダーと呼ぶ男だ。
 それはただの男だったが、剣を取った。
 恋人が殺されたとか、妻が死んだとか、理由は色々言われたが、真実は違う。
 ただ、人類の敵が気に入らなかっただけだ。
 別に正義感が強かったわけではない。
 だが、どうにも我慢できなかった。
 ただ、弱者が死ぬのが我慢できなかった。
 そして剣をとった。何度も負けたが、その度に立ち上がった。そして学んだ。
 自分がなぜ、負けたかを。
 そして、負けない為にはどうするかを考えた。
 人に教わるのではなく、自分で考えた。
 男には信念があった。自分が、最後だと。
 自分の後ろには、他に民を守るは何もないと。
 実際そうだったかどうか分からぬ。
 だが、男は信じた。血を流し、戦うその中で。叫びながら、剣を握ってそう信じた。
 言った言葉はただ一つ、弱者のために。
 我らの祖先は彼を見て、ヒーローがなんであるかを学んだ。ヒーローは、血からも、魔法からも、科学からも生まれぬ。
 ヒーローは、違う。
 ヒーローは、ただの人間から生まれるのだ。
 ヒーローは、ただの人間が、自分自身の力と意志で、血を吐きながら人を守る為に人でない何かに生まれ変わったものだ」