- 作者: 本多正克
- 出版社/メーカー: すばる舎
- 発売日: 2006/01
- メディア: 単行本
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《75点》
多くの店舗が「売上減少の理由がわからない」という悩みを抱えています。
以前は売上げが堅調に推移していたにもかかわらず、ある時点から売上げが落ち始め、その減少に歯止めがかからない。サービス内容やメニューが大きく変わったわけではない。にもかかわらず、一向に回復の兆しがみえない。顧客が減り続ける……。
高級料理の某チェーン店でも、同じ現象が見られました。「徐々に固定客が離れていき、新しいお客様も来店しない。その理由がわからない」とのこと。日々の業務に追われていると問題点が見えづらくなるのでしょう。そこでチェーン店の本部から、ミステリーショッパーの視点で問題点を抽出し、改善点を練ってほしいとの依頼があったのです。
早速、調査開始。まずは、店に電話をかけてみます。
……。15秒が経過。誰も出ません。20秒、30秒、40秒……。まだ誰も出ません。もしも本当のお客様だったら、とっくに電話を切っているはずです。
実際、お客様にヒアリングしたところ、この食い違いが発覚しました。お客様の意見で多かったのは、「電話対応からお皿などの備品にいたるまで高級感を感じたい」「『美味しい料理さえ出していれば』っていう考えは、店側のおごりに感じる」「たとえ高級なテーブルでも、そこに一点でも汚れたついていたら幻滅!」というものだったのです。
料理や伝統は大切。しかし、お客様は料理と同じくらい、あるいはそれ以上に「細やかな配慮」を重視していました。接客態度や店内の清潔感、食器の質、盛り付けなどにも配慮しないと、お客様は、たった一回の夕食に数万円も支払わないということです。
お店側とお客様のどちらが正しいかという問題ではありません。売上げを伸ばしたいのであれば、「店のこだわり」と「お客様の考え」のギャップを直視しなければならないのです。このギャップこそが売上減少の元凶だからです。