大切なもののためにこの社会で戦う物語『マージナル・オペレーション4』芝村裕吏

マージナル・オペレーション 04 (星海社FICTIONS)

マージナル・オペレーション 04 (星海社FICTIONS)

「自分で貼れ。さもなければジブリールに頼め」
「なんでジブリールなんだ。それにこの湿布、中国製じゃないか」
「日本製の湿布なんて見たことがないな」
 日本人としてはさておき、海外から見るとそういうものかもしれない。
 湿布に善悪や敵味方を見分ける機能はないと思いながら、今まさに敵対している中国の湿布を使う。ひんやりして腰にいい。
「これに懲りたら、不用意に子供を抱き上げるのをやめることだ」
 オマルの言葉を聞き流す。僕は別のことを考えていた。
「それよりも、偵察チームはどう思う」
「ダチョウ隊か。いや、いいと思う。いわば戦略偵察チームだ。作戦立案のために、現場の付属ではない独立したより高いレベルでの偵察は必要だろう」
「というほど立派なものでもないけど」
「予算内の努力だ」
「そう言うと悪くは聞こえないね」
──P.37 第一章 父の日常

▼▼理想のために、ちゃんと考えて、現実を踏まえて、ここで戦う、やれることをやるしかない、って覚悟を踏まえた人物ばっかりで、幸せな話だ、って思える。目を逸らして無知で踏まえてなかった、ってことの後悔、から物語が始まってるところも好きだ。
▼▼前巻での、タイ入国からの戦闘と、交渉と、被害、を踏まえて、舞台はミャンマーに移った。スラムの子供達も含めて登場人物も増えつつある。残り二冊か。
▼▼五巻で終わる物語、としての造詣のうまさ、も見えてきている、し、テーマ、物語を駆動させるもの、目立たず流れる通奏低音、のようなものの扱いのうまさ、なんかも結構見えてきてる気がする。この問題を語るならばここは丁寧に語らねばなるまい、と、この問題はここだけ語っておけばむしろ伝わるはずだ、って見極め具合も非常に好み。