過去の夢想と現在の希望

 読み終えるまで残りわずか、というところで睡魔に負けてしまったようだった。目が覚めると枕元に『涼宮ハルヒの憂鬱』が転がっていた。残りわずか、を読み終える。確かにこりゃおもしろいわ、というのがおおまかな感想だった。評判や人気が理解できた。できれば登場人物の掘り下げがもっと欲しかったな、とはわずかに思った。が、そんなところも別に『不満』と呼べるほどの瑕疵ではなかったと思う。登場人物に関してはおそらく続編で補完されているのだろう、なんて予測することができたのも、そのへんの瑕疵を意識せずに済んだ理由だろう。朝比奈みくるが良いね、なんてことも思った。読みながら、特殊な能力を持った人間になってみたいとか夢想していた過去の自分、に、思いを馳せずにはいられなかった。かつてのそういった夢想はだいぶ薄れてしまったな、と思う。が、だからといってそれが失われたわけではないのだ、とも思った。強くなりたい、とか、賢くなりたい、とか、大切にしたいと思ったものをきちんと大切にできる人間になりたい。とかの『現在の私が抱いている希望』は、おそらく『過去の私が抱いていた夢想』と同じ根から生まれているからだ。過去の夢想と現在の希望は、同じ部署の管理下にある、なんて言ってもいいかもしれない。同じ感性が支えているのがわかるのだ。過去の夢想を現在の状況に適応させて再構築してみたら現在の希望になった、なんて風にも言えるだろう。