世界は称賛に値する

日記を書きます

プラネタリウムを作りました。(大平貴之)

《★★★★》

プラネタリウムを作りました。―7畳間で生まれた410万の星

プラネタリウムを作りました。―7畳間で生まれた410万の星

 今回の上映では、上映の成功はもとより、彼らと交流できたことが嬉しかった。何と情熱的な集団だろう。好きなことに打ちこむ彼らの姿に、自分が重なる。彼らの多くが本業をかかえ、時間的にも資金的にも決して楽ではないことも共通する。けれども一つだけ、彼らと僕との大きな違いを見つけた。僕のプラネ製作はたった一人。だが彼らは仲間と共にやっている。どちらがよいかはわからない。集団ならではの苦労もあるだろう。けれども、苦楽を共にできる仲間と夢を追い求めている姿を見て、ぼくはちょっぴりうらやましくなった。かつて自分も、こういう形での製作を夢見ていたものだ。
 僕の夢のために製作してきたメガスター。だが自分の夢を実現する一つ手前に、人の夢を実現できた。そして、彼らの夢をかなえると同時に、僕はエネルギーをもらった。何と嬉しいことだろう。こんな風に感じさせてくれた絶対王様に感謝したい。
 そして、次は自分の夢を実現する番だ。地上最高の星空を作りだすまで、もう少しがんばってみようと思った。
――P.186

▼情熱は素敵だ、と考えていた。懸けられるものなんてほとんどない。滅多にない。ほぼ皆無だとすら言える。だから、懸けられるものを見つけられる、というのはきっと、かなり僥倖なことなのだろう、と判断している。無論決して楽なことばかりではあるまい。だから、短絡的に「幸せじゃないか」なんて言ってしまうことなんてできないのだろう、とは思っている。思っているが、やっぱり幸せに繋がりうる道なのではないか、とは、どうしても思えてしまうのだった。懸けられると思えること、の背後に、すでに、きちんと幸せを感じられること、が眠っているように思えるからだろう。好きすぎて世界最高クラスのプラネタリウムを独りで製作してしまった男の記録である。自伝。熱かった。教えてもらえて良かった。嵌まる時期に読めたな、と思えた。胸中に共鳴するものがあった。