世界は称賛に値する

日記を書きます

ゼロヨンイチナナ(清水マリコ)

《★★★★★》

ゼロヨンイチナナ (MF文庫J)

ゼロヨンイチナナ (MF文庫J)

「明智君。僕けっこう、本気で疑問なんだけど」
 ――なんで君、そんなに、とことんどこまでも、前向きなわけ? 好き嫌いはおいて、僕の言うことにも、正当性はあるってわかってるだろ?
「……」
 一瞬、窓から差した光で、望見の眼鏡のフレームが光った。
「ここへ来るまでもそうだったけど。みじめっぽくても、かっこ悪くても、やばいってわかってても君、前向きだろ。なんでそんなに、気張らなきゃいけない? それで喜ぶ人、べつにいないよ」
――P.242

▼いわゆる『ゼロヨンシリーズ』の第二巻。物語も続きだ。同著者の『嘘シリーズ』が不連続物語だったので、続いているのはわりと意外だったりした。前作に登場した『明智夜城』が主人公に据えられる。偶然出逢った『夏野雪葉』と『ちょっと不思議』巡りをおこなうことになり、教団Eの『望見明』が姿を見せ始める。現実と幻惑の境界が曖昧なのはあいかわらずだった。楽しかった。夏と恋の組み合わせは素敵だ。哀しさ混在ならなおさらだろう。読んだ時期も比較的適切だったのだと思う。読みたかったものだと思えた。