【1】鳥籠荘の今日も眠たい住人たち1(壁井ユカコ)
- 作者: 壁井ユカコ,テクノサマタ
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2006/11/01
- メディア: 文庫
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……やあ。
驚いた。いつからそこで見ていたのかな。
気づくのが遅れて失礼。ちょっとうとうとしていたようだ。
何しろ今日は実にいい陽気でね。長雨、湿気、黴臭さ。これほど快適に過ごせる一日もそうないと思わないかい。
ええと、それで、君が新しい入居希望者だね。不動産屋から話は聞いてるよ。
何、どんな事情があってこの物件を紹介されたのかは知らないが、ここでならうまくやっていけると思うよ。保証人がいなかろうが家出人だろうがお尋ね者だろうが、それにちょっとくらい頭がおかしくてもね。▼▼最新刊である『クロノ×セクス×コンプレックス』が非常に楽しかったので、著者のほかの物語も読んでみたい欲が上がった。設定も好きである。変人達の住人劇、なんて言語化しておこうかな。登場人物に着ぐるみがいるような物語なのでよいですねえ。
【2】橋本治の思考論理学(橋本治)
『橋本治の思考論理学』
今日は”藤山寛美”をやろうかと思ってたんです、実は。
あの人、生きてたときに、松竹新喜劇で「リクエスト公演」っていうのをやってたんです。自分たちができる演目を書いといて、幕が開くと演目だけが並んでる──その中からお客さんの拍手の多さによって、「じゃあ今日はこれをやります」ってね、すぐその場で始めちゃうの。
私もそれをやろうかと思った。別に何を話したいってわけじゃないし、話したいことは本に書けばいいし。私の話なんか、何話したって私流の話ですから。でもまあ、そうもいかないらしいから、何をやっても“俺の話”にしかならない、その私の思考法というか、そんなもんをテーマにします。──でね、今回は、いま一番トレンディな話をしたい、と。▼▼著者が好きっていうよりは、著者を褒め称える言葉達との出逢いが諸々驚くほど素晴らしかった、とか思っているかな。真理や真実を棄てている分丁寧な思考があって好きである、とか言える。若干の稀少性があったようで適当に買ったから驚いている。