世界は称賛に値する

日記を書きます

私がマイクロソフトで学んだこと(ジュリー・ビック)

私がマイクロソフトで学んだこと (Ascii books)

私がマイクロソフトで学んだこと (Ascii books)

《★★★★》

 仕事を変えようかと考えていた私は、子供用ソフトウェアグループのマーケティングマネージャーに、彼女の担当分野で私が働ける可能性があるかどうか、非公式に話を聞かせてもらえないかと頼みました。彼女は同意し、会見の日時をセッティングしてくれました。
 彼女の部屋に入るやいなや、私は矢のような質問を浴びせられました。「このマーケットの最大の課題は何だと思う? どうすればうちの製品が良くなると思う? マーケティング予算は親と子のどちらをターゲットに使うつもり? 字を書くソフトとお絵描きのソフトがあったらどっちを新しいパソコンにバンディングする? なぜ? あなたは何を担当したいの?」
 私はショックを受け、自分がまったく答えられないことに愕然としました。というのは、この分野とそこで私が働ける可能性について、彼女が私に説明してくれるとばかり思っていたからです。言うまでもありませんが、私は一時間のたうちまわり、結局そのグループに来なくていいと言われました。茫然自失した私は、この体験のすべてに落胆しました。
 数ヵ月後、新しいCD‐ROM製品群を担当するグループと会うことになりました。採用担当のマネージャーは、何人かと非公式な面接をさせる予定だと教えてくれました。今回は準備を怠りなくしようと思いました。最初の面接の前夜、私はある友人を夕食に誘い、彼らが私にするであろう質問と、私がどう答えるべきかを徹底的に検討しました。たぶん彼らは私にある特定の分野を選択させ、その分野のCD‐ROMマーケティングプラン全体の構想を示すよう要求するだろうと予想しました。私は旅行が好きなので、旅行のCD‐ROMを想像してみました。友人と私はその顧客層、競合状況、価格、そして本ではなくコンピュータだからこそ提供できる機能について話しあいました。ブレーンストーミングのように、マーケティングと新しい製品についてさまざまなアイディアを出し合いました。
 ふたを開けてみれば、私が会ったほぼ全員がCD‐ROMのマーケティングについて尋ねてきました。そこで私は、一例として旅行のCD‐ROMを出しました。顧客層、マーケット、ライバルについて聞かれましたが、その前夜に夕食の席で話しあった内容をそのまま答えました。
 私はその仕事を獲得しました。
――P.199

▼驚くほど派手な行動規則が描かれているわけではない、と判断する。あくまでも基礎であり、あくまでも基本であろう。けれどうまく洗練されている、と思えた。誰もがやっておいたほうがいいこと、が確かに描かれてはいる。のだが、洗練された基礎、洗練された基本、が描かれているなあ、なんて感じることができたわけである。素敵な情報だ、と判断することもできた。もっとちゃんと考えてくれよな、なんていう曖昧な説教の具体例が無数にあったのだ、と思った。参考情報としては申し分ない出来だろう、と思う。明晰な人間のシゴトバナシを聞くのは楽しいなあ、とか考えていた。油断はしないつもり。