先を読む頭脳(羽生善治・松原仁・伊藤毅志)読み終えた

先を読む頭脳 (新潮文庫)

先を読む頭脳 (新潮文庫)

 たとえば、図11のような局面で、初心者は、駒を一つ一つ認識するしかありません。しかし、アマチュア初段ぐらいになると、矢倉囲い(玉と玉の周りの金銀の形)、4六銀型(4六に銀が上がって、3筋に攻撃を掛ける)などの部分的な形を認識できるようになります。さらに、アマチュア高段者からトッププロクラスのプレーヤーになると、局面全体を一瞬で認識できるようになります。
──P.128

▼▼将棋も囲碁も強くなってみたいと思っている。思考が知りたいからだろう。対戦的な思考は楽しいなあ、っていうのは普段からかなり思っているので、延長線上というか派生というか、類似品のような嗜好なんだろうなー、って感じである。参考になった。認知科学も将棋も好きな人間にとってはもう楽しいことこの上ないものであった。《85点》

「以下は備忘録」

はじめに

1 「先を読む頭脳」を育む

「将棋との出会い」→「自分なりの学習法」→時間をかけて「考える」習慣が身についた→棋譜並べ→形の良し悪しに対する感覚が重要→「伸びる時期」→持ち時間が短い→最善の手を目指すよりその場面を凌ぐ→「一〇代で将棋の骨格が決まる」→「センスと継続力」→子どもを見て→強さ→駒が前に進んでいるか→論理性→プロになるためには、何時間も考え続けられる力→「数学的思考と公式」→詰将棋も方程式も形→公式と手筋→「見て習う、体で習う」

【解説】超エキスパートを育む
「将棋を取り巻く環境」→正統的周辺参加→学習を個人単位ではなく環境の中の相互作用として捉える→知らない人には不親切な環境になりつつある→ゲームの質まで変える可能性→「自分を見つめるメタ認知」→自分の学習上の問題→解決を自分で判断する→認知カウンセリング→個々の事例として対応する→「「反射的思考」と「熟考すること」」→感覚的学習と理論的学習→良い形や攻めのパターンを暗記する→「直観と常識」→人間の行動や思考は直観や常識に基づいている→コンピュータには難しい→論理的に記述しにくい→「自分でテーマを見つけ考え続ける」→継続力→課題を見つける能力→問題発見能力

2 効果のあがる勉強法

「勉強法の変化」→若い頃は深く読むために一〇〇手以上の詰将棋を解いていた→今は二〇手前後→「序盤研究の重要性」→以前は序盤で押されても余裕があった→最近は瞬間に押し出されてしまう→番狂わせが起こりやすくなった→力量とは違う知識や情報による勝負が重要になってきている→「手で覚える知識」→棋譜並べ→局面に対する理解を深める→一手ずつ並べることでゆっくり整理する→考えが頭に浮かぶ→最初からパソコンを使っている子ども→新しい感覚が現れてくる→「棋譜には現われないこと」→指さなかった理由→駒を並べながら、背後にあるものを考えていく→「古典に学ぶ」→混戦の勉強になる→昔は混戦時の力業や独創的な手が多かった→昔の自分の棋譜を並べる→何を考えていたか→「「研究会」という学習」→公式戦では指しにくい手→「実戦から得ること」→大局観を養う→様々な状況に対応する力

【解説】「絶対将棋観」の獲得
「確立された勉強法」→「情報化がもたらす序盤研究」→第三の波:情報化段階→棋譜管理ソフト→類似戦型別検索→羽生さんはあらゆる戦型に通じている→絶対将棋観→「理解と解釈」→駒の文字を伏せて形だけ残した不完全問題→プロ同士の対極ならこうなるはずだ→「駒を触る感触」→能動的で身体的な学習→多様な表現を用いた学習→「能動的な学習」→「多様な表現」→一つの問題を様々な形式で表現できる→問題解決する際に非常に有効→数学も文章問題→式→線分図→ブロック図→表現間を行き来する→ソムリエ→言語表現や比喩→駒を動かす→触感や奥行き→「棋界全体の協調学習」→以前は心理戦要素が濃かった→今は完全情報確定ゲーム→手の内を隠すことには限界がある→指されなかった手の意味を考えることで一歩先んじる→実戦で学ぶ勝負勘」→指運→終盤になるほど場合の数が増える→二人ボードゲームとしては珍しい的確な判断を下す→実戦経験

3 先を読むための思考法

「できるだけ可能性を残す」→次の手をどう決めていくのか→候補手を限定する→常套がある時は常套以外から考える→序盤は可能性を残す→主張するよりもいかに相手にうまく手番を渡すか→「動かさない方がいい駒」→マイナスになる可能性が高い→プラスに働くことはむしろ非常に少ない→この手を指すくらいなら指さない方がよい→という判断で選択肢を消す→有効に動かせる駒を残しておく→「経験が生み出す読み」→昔ほど読まなくても対応できる→最近は迂回が増えた→踏み切りの測り方が慎重になった→「剣豪の間合い」→対応する手を見つけるゲーム→自分の選択の幅を残しつつ相手の手は限定されるように→自分の力だけでは技をかけることが難しい→「形勢判断は流れから」→差を正確に見極める→駒の損得、働き、玉の堅さ→可能な限り絶対評価→それまでの指し手の流れの中で判断→「不利な時の思考」→博打のような手よりは逆転できるようにチャンスを待つ→まぎれる可能性を模索する→一回次善手を相手が打っても追いつけない形勢は追いつけない→「持ち時間と思考」→序盤から中盤で差がつかないように時間を使わざるを得ない→残り二分は残す→危機管理→チェスは長手数になると持ち時間も増える→「時間配分とメタ思考」→ゴールから遠ざかっていくことがある→「長考の秘密」→候補手を取捨選択していく→眺めるだけで探していることもある→「将棋は抽象的な世界」→痛みや喜び→ジワジワにじみ出る→「独創的な発想」→藤井システム→王様を囲わずに振り飛車→カニカニ銀

【解説】熟達者の思考プロセス
「プロ棋士は必ずしもたくさん読まない」→将棋を題材にして記憶と思考を研究→思考時間は中級者が最も長い→プロは見ただけで感触の良さそうな手や味の良さそうな手がわかる→使える知識→記憶とは違う→どういう将棋になるかまで記憶されている→「コンピュータは膨大に読む」→静的評価関数→「目指しているものの違い」→人間は経験を深めて直観を磨く→「大局観の勝負」→思わしい手を待つ→静的評価関数とは違う→「情報の集約」→チャンク化→トッププレイヤーは前後関係までチャンク化している→「逆算から順算へ」→情報集約だけでなく、どう想起させるか→逆算→どう指したらよいか→順算→局面を見てどうしたらよいかが浮かぶ→熟知していると自然と最短経路→「流れで考える」→流れに言及が見られるのは上級者から→コンピュータは流れがない→前に指した手の顔を立てる

4 勝利を導く発想

「相手の観察」→対話している感じになる相手もいれば、波長が合わなくてもいい感じになる相手もいる→「相手によって指し手は変えない?」→故・大山康晴十五世名人は相手によって手を使い分けていた→普段は変えない→相手の序盤の組み立てが決まっている場合は、やりたい手に誘導することを考える→初対面との一発勝負ではないので奇襲は意味がない→「将棋の駒の使い方」→それぞれの駒に対するイメージ→金は守りの駒だが終盤では持ち駒金一枚で一手稼げる→桂馬は一枚は使う駒で一枚は取られる駒→香車は役に立たないことが多いが相手の香車を取れた場合は活躍する→歩は広く使える→飛車は要でこの駒の位置でほかの駒の配置も決まる→王はそれ自身で強いので強さを意識して指す→プロ棋士は馬とと金を好む→と金ができると長期戦に勝ちやすくなる→銀はつなぎの糊のような働きをする→「自分の棋風」→主導権を取りに行くタイプ→「大山先生の棋風」→相手の心理状態をよく見ている→よくない手だが相手の苦手な手を打ってくる→異質→「各棋士の棋風」→米長邦雄棋聖→相手を見ている→森内俊之名人→受け→中原誠永世十段→細かいことを気にせず動じない→細かいところでは勝負はつかないという大局観→加藤一二三九段→正しい明快な手があるという信念を感じる→渡辺明竜王→粘り攻め→升田幸三九段→感覚がすぐれていてまず感覚でかなりの部分を把握→吉田勝利八段→変則的で予想外の手を指されていた→「天才とは?」→谷川九段→光速の寄せ→ボビー・フィッシャー→チェス世界タイトル→チェスは引き分けが多い→勝つときに大差をつける→棋譜が美しい→「強さの認識」→「不調は風邪みたいなもの」→相手が好調だと伝染することがある→一局一局を丁寧に打っていくしかないmぎい「内的な要因と外的な要因」→将棋界の流れに乗れているかも重要な要素→戦型の流行り廃り→調子の悪さの原因が外的なものか内的なものか→戦法を選ばない分調子の波も少ないのかもしれない→「オフの過ごし方」→「負けから学ぶこと」→新しい戦型→その道のスペシャリストと戦わないと本当の意味では身につかない→「言語化の重要性」→感想戦

【解説】トッププロ棋士の驚異の能力
「驚異の記憶力」→局面を記憶してもらう→初心者は十五秒以上でトッププロは数秒→アマチュア有段者は定石を外れた中盤以降は憶えるのが大変とコメント→プロ棋士は中盤以降でも将棋は将棋とコメント→「トッププロ棋士は特別ではない」→ランダムに並べると誰でも正解率は低くなる→「棋風と将棋」→処理限界はマジカルナンバー7±2→大局観という直観的知識を磨く→「勝負術とヒューマンファクター」→コンピュータには勝負という概念が欠けている→将棋は駒の再利用により逆転が起きやすい→不利な状況における変化がコンピュータにはない→おもしろいと思わせる方向の将棋プログラム→「好不調をメタ認知する」→思考の言語化が学習で有効

5 ゲームとしての将棋とコンピュータ

「先後の価値」→統計では先手有利→今は後手でも千日手のような局面には持っていけると思っている→千日手になるからやらない戦型がある→チェスは先手有利→「将棋と男女差」→中井広恵さんと清水市代さんが抜きん出ている→「プロとアマの格差」→差が縮まりつつある→強い人と戦えるようになった→「将棋の国際化」→チェスのように厳密に決めていく必要が出てくる→「チェスというゲーム」→チェスの序盤は将棋の中盤→→接近戦→「将棋は終盤に向かって発散する」→将棋は終盤に見たこともない場面が現れる→収束しない→「将棋は特殊」→互換性がない→「考え方の奇妙な一致」→将棋とチェス→中央の天王山についての一致→昔は取りに行くことを優先→今は目標にして仕掛けていく→時代による変化が似ている→「将棋は個人戦」→チェスはチームを組んで戦う→「コンピュータと将棋の体系化」→「コンピュータ将棋の印象」→「コンピュータ将棋との共存」→戦うときは持ち時間は二、三時間→アドバンス・チェス→コンピュータを持ち込んで戦う→「性善説のゲーム」→紳士協定

【解説】コンピュータ将棋からの発見
「ゲームとしての将棋の奥深さ」→将棋の探索空間は10の220乗→囲碁は360乗→「人間とコンピュータの対戦」→「コンピュータに将棋が難しい理由」→「終盤だけならプロ並み」→だいたい二年で一段ペースで進化→ハードの性能アップ→ムーアの法則→最も長手数の詰将棋は1525手詰めのミクロコスモス→「根本的な問題点」→長期的プランが立てられない→棋理に合った手が打てない→羽生さんは指し手の顔を立てる手に拘らない→「未知の領域を切り開く」→ボナンザ→評価関数を学習する上、全幅検索で十数手先まで読む→条件にもよる→10秒将棋ならコンピュータ有利→

あとがき