世界は称賛に値する

日記を書きます

「家計破綻」に負けない経済学(森永卓郎)P.66

「家計破綻」に負けない経済学 (講談社現代新書)

「家計破綻」に負けない経済学 (講談社現代新書)

《80点》

 社会保険と税金は違うと思われるかもしれませんが、実質は同じです。納めた保険料が本人に帰る積み立て方式が採られているわけではなく、厚生年金は低所得者に厚く給付されますし、健康保険は支払った保険料に関係なく受けられるサービスは一律だからです。
 厚生年金や社会保険料の計算では、給与額そのものに保険料率がかかるのではありません。月給二一万円から二三万円の人は標準報酬月額をニニ万円とするといったように、いったん標準報酬月額に給与を読み替えてから、保険料率を乗じて保険料を算出することになっています。ただ、改定前には賞与は別でした。
 ところがこのときの改定で、賞与の標準報酬額は、厚生年金が一五〇万円、健康保険はニ〇〇万円と、それぞれ上限が定められたのです。つまり、賞与が一五〇万円の人も、五〇〇万円の人も、ニ〇〇〇万円の人も、賞与から支払う保険料はみな同じ。厚生年金と健康保険合わせて三三万円(企業負担を含む)になります。ということは、賞与一五〇万円の人の「税率」はニニ%だが、賞与ニ〇〇〇万円の人の「税率」は一・六%にすぎないということになるのです。こんな逆進的な「税」制があってよいのでしょうか。