世界は称賛に値する

日記を書きます

臨機応答・変問自在(森博嗣)

臨機応答・変問自在―森助教授VS理系大学生 (集英社新書)

臨機応答・変問自在―森助教授VS理系大学生 (集英社新書)

P.147

 結局のところ、教育とは、受け手に「学んでやろう」「吸収してやろう」といった積極性が存在しないかぎり、ほとんど無駄だと断言して良い。教育そのものが成立しない、といっても過言ではない。すなわち、「教える」という行為が単独では成り立たない。学習する側の「求める姿勢」「意気込み」こそが不可欠であり。それが教育の必要最小限の成立条件といえる。もし、教師にできることがあるとしたら、実に細やかな範囲ではあるが、学生にその「やる気」を出させることだけだ。「その気にさせる」という騙し騙しの行為しかない。できることは、僅かにそれだけなのだ。ほとんど、舞台で演じるマジシャンと同じである。観る者が「不思議だ」と感じる気持ちがなければ、実に滑稽で時代遅れの猿芝居でしかない。

P.135

Q 先生は自分を教育者でないと考えてみえるようですが、そのことと出席をとることは矛盾していると思うのですが。
A そのとおり、矛盾しています。矛盾していない生き方ができれば素晴らしい。学生は授業料を払って望んで大学に来ているのに、何故、授業を嫌がるのだろうか。矛盾していませんか? その矛盾がなくなれば、出席をとる必要もなくなり、素晴らしいでしょう。