極限までまったりきっちり話してみたい

▼深夜の静寂の中で悩みを聞くのは新鮮だった。変わったよな、とぼんやり思う。梅酒の瓶が籠の中で転がっていた。ごろごろと音が響いている。比較的心地好い音色だった。深夜の静寂はおおむね保持されていた。話を聞く。軽く苦笑を浮かべてしまった。以前とは明らかに変わった、と改めて考えてしまった。深夜の静寂を背景に彼の悩みを聞くような機会が訪れるとは思わなかった。不快はなかった。違和感はあった。とはいえ、違和感は意外に快感だった。違和感に快感を感じられる人間らしいな、と最近は判断している。思考や哲学を楽しめるのはそのおかげなんだと思う。話題は結婚に関連したものだった。結婚に羨望を感じたことは微塵もなく、恋愛に羨望を感じたことは時おりあって、彼の持つ強靭さはむしろ敵だった。というか苦手だった。欲しかったからだろう。脆弱の気配を感じて優越を感じかけている人格は圧殺したかった。多分複雑な気分ではあった。可能なら極限まで真摯に対話してみたい、とは考える。頻繁に思う。誰に対しても思う。常態だと言ってもいい。まるでわからないからだ。まったりきっちり対話してみたいのだ。