- 作者: 来楽零,柳原澪
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2006/02
- メディア: 文庫
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《★★★》
「そうか、馬鹿か」
「……知ったかぶって言ってみただけよ。鵜呑みにしなくていいから」
「いいや。俺は馬鹿で、失敗したんだな」
――P.156
▼エレベータに偶然乗り合わせた四人が、異形に襲われ、次第に人間とは違うものへと変質していく。という流れに魅力を感じたのだった。おもしろかった、とは、逡巡することなく言える。が、コントラストが淡すぎるかなあ、なんてことは思った。おそらくは描写量の問題なのだろう。思考に物足りなさを感じてしまったのである。苦悩にも信念にも決断にももっと描きを尽くして欲しい、とか思ってしまったのだった。十文字誠の苦悩に関しては、とても好きだと断言できる。比較的強く共鳴できた。おもしろかった、と言えるのは十文字誠という人物に魅力を感じられたからだ、なんて言うこともできると思う。