世界は称賛に値する

日記を書きます

現実を語る緻密な言葉

 抽象化というのはある意味で『細部を削る』ということだ。簡単に言うと、ちょっとおおまかになる、ってことである。私たちが使う『言葉』は抽象化の権化みたいなものだから、要するに言葉は、言葉になった時点で確実にどこかが削られている。だから、そのままだと現実感がないわけだ。現実感バリバリの現実を削っておおまかにしてしまったのだから、現実感が失われるのは当然だ、という話。私は、その削除部分にほかの言葉をあてがうことで、現実感を新たに生み出すことができるんじゃないか、と考えている。失われた細部を再び創り出すことで言葉を現実に近づけることができるのではないか、という認識だ。神は細部に宿る、というところか。なんだかたまに物語が持つリアリティとやらが問題視されることがあるけれど、要はそういった話なのだろう、とたまに思う。