【1】思想はいかに可能か(柄谷行人)
- 作者: 柄谷行人
- 出版社/メーカー: インスクリプト
- 発売日: 2005/04/01
- メディア: 単行本
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すべて思想の名に値する思想は自己の相対化されるぎりぎりの地点の検証から始まっている。あるいは、思想家は自己を相対化してしまう現実の秩序と生活の地平に耐えねばならぬという恐ろしさを見極めようとする所からのみ生れる、といってもよい。
思想と思想とが格闘しているように見えるときでも、実際は各自の思想の絶対性と各自の現実の相対性の矛盾の地点でひそかに演じられているにすぎない。ある思想が絶対を主張し、他の思想が絶対を主張する、という所で決戦が行われたためしは一度もない。いいかえれば、思想家の全葛藤は、自己の思想の絶対性と、それを相対化する現実的他者即ちそれがまた幻想的な表現をとって現れる思想との内的な対立から生れるが、勝負はつねに彼がどれだけ自己の思想の相対性を検証しえているかどうかにかかわり、そこにのみかかわっている。▼▼最初立ち読みして、買うか非常に迷って、調べたら在庫あんまりなさそう、と見えたので、注文した。切り口切れ味と整理具合がすごい、ってけっこう思った。現時点の読み取り性能だと同じ文を四回読み返すと理解できてくるかな……。って印象で読んでる。