楽にさせてくれる言葉

 救いを与えてくれる言葉がある。ほっとさせてくれる言説がある。不安を緩和してくれる言辞がある。そういうものに頼っていることを認識しておくべきだろう、と思う。そういうものに縋っていることを自覚しておくべきだろう、と思う。そういう言葉や言説や言辞に対して、でもそんなのは嘘かもしれない、と考えて、覚悟を決めておくくらいのことはしておくべきだ、と思ったのだった。それくらいのことをしておかなければ、いつかそれを免罪符にして無意識に逃げてしまったりするのではないか、と思えたからだ。人は変われる、とか、死ぬまで成長できる、とか、真剣に向き合えば何かが得られる、とか、私が無意識のうちに縋っている言葉はそういったところに多いかな、と思う。20代は基礎を固める時期だから本格的な技術力の獲得を目指すのは30代からでいい、とかの、ビジネス領域で囁かれるような言葉も、それに該当するだろうな、と思う。つまり、そういうもんなんだから今の自分はあんまり問題ないんだな、と思って楽になれるような言葉や言説や言辞を、盲信しきってはならない、と考えているのだった。なぜか。人はツラさから逃げたがるからだ。逃げたくて、そういった許しの言葉に縋ってしまいやすいからだ。