▼▼見たこともないような驚天動地の展開がなくたって(見たことがあるような展開がもし続いたとしても)、見慣れない領域の物珍しい知識が混じっていたら、なんだかんだで楽しく読めたりする。未知の情報を得て、新たな知見を得ることは、楽しい、のだ。いやわざわざ小説で得なくてもいいじゃん、というツッコミも、無論思うだけなら思えるのだけど、別に、小説で得たってよいじゃん、とも思うし、得ることが楽しいのはやっぱり楽しい。設定、情景描写、キャラクター、謎解き、とかじゃなくても楽しさはあって、知識を得る楽しさっていうのがやっぱりあるよね、と思うのだ。それが小説にとってメインメニューになりうるのかサブメニューでしかないのかそういう形状で見るのがそもそも違うんじゃない?という雰囲気なのかは、判らない(微妙である)。でまあ、今日読んだ、津田彷徨『ネット小説家になろうクロニクル』は、基本的な流れとしては、わりと典型的な「夢を失った少年が、新たな夢に出会い、夢を叶える」物語であったかと思うのだけど、小説をネット上で公開してゆく、ということに関する知見、工夫、の話が異様に楽しくて、なんというか、非常に楽しく読めたのだった。▼▼いやでもまあ、やっぱり物足りなさはあったかな……。キャラクターをもっと掘り下げていって欲しい、という欲は出る。そう思えるだけの魅力はあった、とも言える。続刊は出るようだし、続くなら、まあ、キャラクターの掘り下げもされやすくなるだろうから、そこに期待かな。主人公が別に好きでも嫌いでもないため、現状のままの主人公の雰囲気で、掘り下げばかりされると、ちょっと萎える気もする。メインになる複数の人達がどんどん深まっていく感じがじぶんは好きなのだな、と気づいた。