世界は称賛に値する

日記を書きます

子供達の安住の地を求めて彷徨う図抜けた智略家の物語『マージナル・オペレーション』3巻

マージナル・オペレーション 03 (星海社FICTIONS)

マージナル・オペレーション 03 (星海社FICTIONS)

「試したかったの。山岳民族からは、別の噂を聞いたわ。子供使いは、子供を安住の地に連れて行きたいのだと。与太話だけどね」
「殺したり殺されたりしないで生きていける場所を探しているだけです」
「そんな場所は知らないけど、規模やお金があれば少しは殺したり殺されたりしないでもいいんじゃない?」
「そうですね。嬉しい話です」
「ポーカーフェイスね。あなた」
 リさんはなぜかあきれてそう言った。頭をかく。
「どんな表情をしていいか分らないだけですよ。どんな仕事でしょう」
「最近子供使いを真似てこの国の子供を傭兵用途に使おうとする奴らがいるの」
 リさんは僕を見て少しだけ優しく笑った。
「はじめて人間らしい表情を見たわ」
 目を細めて斜め下を見て、目から怒りが吹き出すのを押しとどめた。これは、罰だと思う。僕が子供たちを使って戦う、誰かが与えた罰だ。
──P.32

▼▼軍事知識は好きなので、穏やかで冷静かつ世界の美しさのために怒れる主人公、って要素と組み合わされたら、まあ嵌まる。という好みだ。漫画から始まって、がっつりと嵌まりつつ、三巻まで辿り着いた。ゲーム『ガンパレード・マーチ』の時からだけど、芝村裕吏の物語に通底する世界観は、非常に好きだ。相変わらず好きだった。世界観、っていう言いかたが綺麗に嵌まるまあまあ稀有なケースだ、とも思った。世界の見かた。▼▼主人公アラタがちょくちょく静かにマジ切れるの、ものすごく心地好い。