薄墨色ボードゲーム会
『ザ・ゲーム』
▼▼前に置かれたカードよりも「おおきい数字」のカードが置けるところを二つ、前に置かれたカードよりも「ちいさい数字」のカードが置けるところを二つ、準備する。この四つの場所に、おのおのの手札を置いていくのだ。カードは、2~99までが重複せず存在している。フレーバーとしては、この数字が「悪魔」を意味しているようだ。98体の悪魔を封印する、という情景がゲームの背景になっているので、場に出したことにより、その数字の悪魔を封印できた、ということが意味される。十体以下まで封印してみせることが勝利条件である。洗面器の水に顔をつけて無呼吸に耐える、という意味の洗面器ゲーという呼びかたがあるけれど(?)、まあ、この手の雰囲気を感じる。出したくないのに出さなければならない。10の上に24を置かねばならない(11~23はもう置けなくなる)。ちょうど10個前の数字のカードだけは巻き戻せる、ということによる気持ちよさと、ルールの単純さが、非常に使いやすい協力ゲームだと思う。ぜんぶ出し切りたいと思ってしまうとけっこうな難しさであることだけが、若干、気になっちゃうかなー。敗北が決まっても笑える人達と遊ぶなら抜群のゲームだろう。
『レジスタンス・アヴァロン』
▼▼脱落無しの正体隠匿ゲームとして名高い印象だ。アーサー王伝説が模されている。基本的には、アーサー王の配下として、クエストに旅立ち、成功させる、というのが目的になる。しかし、裏切り者が混じっているので、時々、クエストが失敗させられる、のだ。クエストにはリーダーで選出された数名のメンバーで立ち向かう。五人で遊ぶなら二名か三名で挑むことになる。任命された者たちは、裏向きに成功/失敗カードを出し、誰か一人でも失敗カードを出していたら、クエスト失敗になる。3人でクエストに挑戦して失敗したなら、そのうちの一人(もしかしたら二人?)が敵であり、2人でクエストに挑戦して失敗したならば、さらにそのうち1人がじぶんならば(さらには、じぶんがアーサー王側であるなら)、敵の一人は、その一緒に行った相手で確定、なのだ。しかし、その「こちらから見た確定事実」を、まわりの人達に信じてもらうことはできるのだろうか。というのが問題になる。細やかな要素が情報になるところ、短時間で終わるところ、敵の正体を知っているけれど明確には話せない(正体がばれると負けになるマーリンという役職がある)ところ、等々も好きなところである。最近出番多め。
『フォーセール』
▼▼前半フェイズと後半フェイズに分かれる。最初に配られた初期資金を使って、競りにより場の「物件カード」を奪い合う、というのが前半フェイズの目的になり、前半フェイズで獲得した「物件」を使って──売り払って、場の「小切手カード」を奪い合う、というのが後半フェイズの目的になる。この二回の「奪い合い」における微妙な方向性の違いと、前半/後半で行なわれる奪い合いの回数が程よいところ(五人で遊ぶと六回ずつ)と、前半フェイズの競りでは「勝者が一人決まり、一番よい「物件」を獲得したあとに、残りは、時計回りによいものが配られる」という流れになるのに対して、後半フェイズの奪い合いにおいては「出した物件カードの、強さの順に、よい小切手カードが貰える」という流れになる、という対比的なところが、妙に好みだ、妙に楽しいぞ、と、思えるところだったりした。世の評判を眺めていると、大人数のほうが面白い感じになりそうだ、っていう雰囲気があるかな。競りが活性化しやすくなる、というのがおおきいと思う。あと、旧版か新版かで若干ルールが異なるらしくて、切り上げか切り下げか、というところのルールが異なったりもするようである。旧版のほうが競りに参加するリスクが減るので、競りが活性化しやすくてよいよ、という話も聞いた。初めて遊ぶゲームだった。あっさりできる競りゲーで素敵だ。
『シャドウハンターズ』
▼▼対立するハンター陣営とシャドウ陣営、そして別目的のニュートラル陣営、の三つの陣営に分かれ、敵側を駆逐するゲームだ。ニュートラル陣営の人は、じぶんだけの目的を目指すことになる。盤上にはマスが6つがあって、サイコロの目により、止まるところが決まる。止まったマスによってカードが引ける。攻撃風味の黒カード、防御回復気味の白カード。正体を曝くための情報が少し得られる緑カードだ。黒カードはシャドウ寄り、白カードはハンター寄り、という効果も混じっていたりして、どのカードを引くか、ということまでが、推測のための情報になったりする。あのひとがあのひとを攻撃してるからハンターかなあ、とか適当に考えつつ、けれど、あんまり「正体隠匿」におおきな重きを置いてなくて、アクセント程度なのも、よいところだろう。隠れ続けたり、騙し続けたりすることが目的ではなくなりがちなのだ。最終的には全員正体なんて明かしつつの殴り合いになったりする(正体を明かすことで特殊効果が使えたりするし……)。正体隠匿、って要素を推しすぎると印象が変わってしまいそうなので、説明する時に注意せねば、と思えるゲームでもあった。世の評判が非常によいと認識していたわけだけど、納得の出来であった。
『横暴編集長 ニンジャ記念日』
▼▼書籍の編集者となって、編集会議に出て、素敵な「タイトル」を考えるゲームだ。様々な実作品の題名が、上下に分割されて「札」になっているので、それらを組み合わせながらタイトルを作ってゆくことになる。拡張「ニンジャ記念日」を買ったので、加えつつ遊んだ。拡張「ニンジャ記念日」によって(これは特にニンジャとか記念日とかとは関係ないものである)基本セットより少しだけマイナーなタイトルを加えることが出来る。マイナーというよりは、往年の名作が中心になっていた基本セットと、現代的有名作品などのニンジャ記念日、というふうにも言えそうかな。笑いつつ、おお、と感心したりもしつつ、素敵なタイトル案をいくつも挙げていき、最後に、最優秀作品を一つ、選出した。大喜利ゲームの中では、現時点ではトップ3に挙げられる好きさかなー。
『ラブクラフト・レター』
▼▼『ラブレター』というゲームの派生作品だ。クトゥルフ神話の作者であるラブクラフトの名が冠されている。ゲームも「神」「狂気」といったクトゥルフ要素がそこここに見られる。『ラブレター』よりも好きだ、という言いかたをすると語弊があるけど(まあたぶん嘘にもなるけど)、『ラブレター』より戦略性が程よく高いところと、『ラブレター』より特殊効果が派手になりがちなところは、明らかに好きだったりする。狂気効果を持つカードがいくつかあって、狂気効果カードを一回使うことで、狂気化でき(してしまい)、以後は、カードの「狂気側」の特殊効果が使えるようになる、という独自要素がある。そして、狂気側の効果はたいてい派手で強いのだった。無論、リスクもあって、狂気化したあとは、毎回、手番の前に山札をめくらなくてはならなくなって(正気度チェック)、ここで狂気効果を持つカードを引いてしまうと、即座に敗北してしまったりする。このあたりのバランス調整が非常によい、ような気がしている。