これだけあればもういい
もうこれだけあればいい、これだけ手元にあるならほかはいらないかも、くらいのことまで思わされる読書体験が、ときどきはあって、明らかな誇張というか、勢いだけの一過性の発言というか、事実じゃないのは間違いないのだけど、それだけ衝撃的だった読書が幸せなものであったのも、間違いはない。好みとクオリティがよほど兼ね備わって最上クラスの評価が下せてないと、一時的な興奮によるものであって、そこまでは思えない。
『さよならの言い方なんて知らない』シリーズを、あらためて1巻から読み返していて、「最初に読んだときにも思ったけど、ほんとうに、このシリーズだけあれば満足できるくらい楽しい……!」って思った。あらためて素晴らしかった。9巻まで読み終えていて、なお、このあとに続くであろうお話を想像して、ワクワクさせられた。
座右の本、人生の一冊、オールタイムベスト、言いかたはいろいろあれど、ぼくにとってほんとうに大切な作品になっているのは間違いない。それが驚くほど前向きな芯を持っていそうなのも嬉しい。ぼくが大切にしている(であろう)「問い」めいたものが、物語の背後にありそうと思えるのも嬉しい。
