社内研修の実施日。少し早めに家を出る。新橋駅で乗り換え。ふだんはほぼ出向くことのない方面の駅へ向かった。ビジネス文脈に沿ってまとめられた話を聞いた。このあたりの説明や指南、基本的には好きって言えるかな。正直、悲喜こもごも思うところもあるし、あくまで概念においての好みの話になるし、商業主義とか資本主義に対する好き嫌いとは別の問題にもなるけれど、ビジネス・商売・仕事・会社あたりの文脈に乗っかった理屈には、ほどほどの敬意をいだいてはいる。功罪はあるにせよ、人類が為してきた、無数の工夫を感じる。エネルギーが費やされてきた感も半端ない。そしてこれからも当分は燃え尽きそうにない。そんな熱量に当てられる。巨大な建造物や果てしない歴史の壮大さに"喰らう"ときのような、くらくらした気持ちになる。
帰宅途中、溜池山王駅の無人書店「ほんたす」に立ち寄った。前に、通りかかった際、気になりすぎて、思わず反射的に登録してしまった会員制の書店だ。無人なのがシンプルにめずらしい。けっこう落ち着くし、楽しい。推薦棚に並べられていた『百冊で耕す』(近藤康太郎/CCCメディアハウス)を買った。これがほんとうによい出逢いだった。旅先の書店や稀に行く書店では一冊くらいは本を買ってみたい、せっかくなら新しい場所での新しい本とのご縁を求めたい、みたいなことを考えがちなのだけど、こういうふうに、めずらしく立ち寄った書店の、推薦棚で、一期一会の出会いが起きてくれると、ほんとうに嬉しくなる。本好きのための本だった。やや誇張して言わせてもらえるなら、「ぼくだって本好きとしてはけっこう人後に落ちない」くらいの気持ちもなくはないのだけど、これはかなわん、と即刻思わされるような、凄腕の本好きによる本好きのための本だった。初っ端の、速読の技術/遅読の作法からして、滅法おもしろかった。
