ドキドキ文芸部
虚構だから、創作だから、絵空事だから、なんていう狭量な理由(理解)で、切実な想いをないがしろにしないでほしい、粗雑にあつかわないでほしい、切り捨ててしまわないでほしい、とは思いがちだ。まっすぐ受けとめてほしい、くらいのことは感じる。懸命な気持ちをちゃんと包み込んでくれるような光景が好きだ。『ドキドキ文芸部』の配信を見るとき、おおむねそんなようなことを思っている。
リゼ・ヘルエスタ氏の『ドキドキ文芸部プラス』の実況プレイ配信を観た。とてもよかった。ギャルゲーや恋愛シミュレーションを逆手にとったようなゲームだ。この作品を遊ぶひとの中には、ゲームを進行させることを優先させて、淡々と場面を切り替えていくひとなんかもいるのだけど、個人的には、あんまり好きじゃないスタイルだ。今回、そういう雰囲気はだいぶ薄かった。相手の背景と覚悟を丁寧に受けとめてくれているように見えた。物語の中での予想や解釈もほどよい深読み感があって気持ちよかった。独特な読み取りかたをするなと感心もした。これまでの視聴歴でいうと、稲葉百万鉄氏のプレイスタイルと感情がだいぶ素敵だった。しぐれうい氏がエンディングを迎えたときの雰囲気もとてもよかった。そこにひとつ、素敵なプレイヤーが加わってくれたと感じた。