世界は称賛に値する

日記を書きます

気取る難事業3/27月

丁寧な読書

最近読み終えた『哲学入門』(戸田山和久)がたいへん面白かった。と同時に、難解だった。ついていくのがやっとだったと感じている。論理を見失わないよう丁寧に読むことを強制させられるような読書だった。が、そんなふうに押さえつけられたおかげで、思考を巡らせながら読書する習慣を思い出せた気はする。ひとことひとことのつながりを意識していく読みかたを再認識することができた。デメリットは時間がかかったことくらいだろう。まあ、この世で最も重要なのは時間だという切り口もあるので、油断できないデメリットでもあるとは思うけれど。

すぐ加速させようとしてくる

極めてゆっくりと、頭脳を巡らせながら、論理を追って、整理整頓とともに読書する。そういう楽しさ。そして気持ちよさ。基本的にはよいことばかりじゃん、って思えるくらい楽しいのに、なんでか忘れてしまうんだよな~。たまにそのよさを思い出して、意識的にやろうって思い始めたりもするのだけど、いつの間にかまた、あせって読むようになっていたりする(トータルで見ると、あせる読書のほうが"やりがち"だ)。

あせらせるほうへと誘う「社会」「文化」「時代」「空気」といったものがやっぱりあったりするんだろうな〜、って考えていたりはする。あせらせるというか、ゴール観を押しつけられるというか、間に合わなさを意識させられるというか、そういったたぐいの主義や思想、テクノロジーが、いまの世の中では伸びるし(伸びやすい環境になっているし)、だからこその、カウンター的な言説も出てくる印象だ。旧時代的なゆるやかさや落ち着き、遅さや鈍さ、といったスタンスやスタイルを、思い出させようとしてくる言説。こういうものを、「旧き良き」「古典的」「懐古」とかいって(あなどって)切り離そうとしてしまうところもいままではあったからな〜。こちらの視点も織り交ぜていくのがよさそうだと最近は思えるようにもなってきた。

哲学入門 (ちくま新書)