世界は称賛に値する

日記を書きます

爪弾く水源地3/11土

ヴァンパイアハンターに優しいギャル

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第14回GA文庫大賞「銀賞」受賞作。ヴァンパイアハンターと女子高生、ふたりの出会いの物語。すべて殲滅したはずのヴァンパイアがなぜか襲ってくる問題と、女子高生として楽しく過ごす楽しさと難しさの問題を、ほどよく織り交ぜながら、琉花と銀華、ふたりの交流が描かれる。百合というよりはバディ物の風味だった。ふたりの名前に「花」「華」が入っているところはなんとなくよい。あと体験なのか取材なのかわからないがギャル知識が精緻っぽかった。

ただの女子高生・琉花の優しさが、かなり誠実なに描かれていて、しっかりしていたところが、とてもよかった。元ヴァンパイアハンターの女子高生・銀華もかなり素敵なキャラクターだったが、「学校に通いたい」「ヴァンパイアハンターとして戦ってきた」といったエピソードばかりが今回は主軸になっていたので、もっともっと深掘りしていける印象である。

最終戦での倒せない敵に対して「銀粉」を活かすアイデアはおもしろかったのだけど、そもそもそれが通用するなら(まあ所持してなかったので今回は意味があったが)対処は可能だったわけで、策としては甘かったんじゃないの、とは思った(脇の甘い戦術はあんまり好きではない)。それはそれとしてよかったのは、ラスボスとギャルの交流というか、落ち。続刊があるなら女子高生・琉花のそういった側面がどんどん光を拡げていってくれたらと思う。琉花の覚醒パターンもありそうではあって、そのあたりのあつかいで、物語の方向がかなり変わってきそう。琉花の血の問題もあるし。組織の問題も語られてないし。