世界は称賛に値する

日記を書きます

Kindleで買った

【1】天冥の標1 メニー・メニー・シープ〈下〉(小川一水)

天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)

天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)

 謎の疫病の感染源は、出自不明の怪物イサリだった。太古から伝わる抗ウイルス薬で感染を食い止めたカドムだったが、臨時総督府にイサリを奪われてしまう。一方、首都オリゲネスの議員エランカもまた、ユレイン三世の圧政に疑問を抱いていた。彼女は自由人の集団“恋人たち”と知りあうが、ユレイン三世はその大規模な弾圧を開始する。新天地を求めて航海に出た“海の一統”のアクリラは、驚愕すべき光景を目にするが…。
http://book.akahoshitakuya.com/b/4150309698

▼▼シリーズ十巻を予定している大河SFの二冊目だ。第一巻の下巻、と勘定されているので、結果としてぜんぶで何冊になるかは、謎である。けどまあ一つ巻があまり長々と続けることはあまりなさそうに思える。▼▼現状は、言ってしまえば、今後の物語の材料を着実に着々とばらまいているはずであり──速やかに密やかに話の核がばらまかれているはずであり、けれど、うまく謎を匂わせているものと、匂わせることすらしてくれずに静かにあっさり流されているものが、楽しみを歓喜してくれるギリギリの比率で、うまく描かれている印象があって、おもしろくなりそうな雰囲気の蓄積具合および垣間見せ具合にびっくりしている。▼▼なんて要素とはまた別に、登場人物と事件と展開などなどの魅せかたドキドキできて楽しいし、ほんとうによい物語を読めているなあ、と思った。上巻下巻の切れ目付近で世界を揺るがしにかかってきたところもすごくよくて、楽しみだ。