- 作者: 木田元
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/04/10
- メディア: 文庫
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▼最初に『おもしろそうだなあ』と思ったのは数年前だったと思う。いずれ買おう、とは数年前から考え続けていた。機会がなかった。のだけど、うまく機会が訪れた。哲学を私は有益なものだと考えている。が、有益だと思う根拠は単に『好きだから』なのではないか、という疑いを持っていたりもする。好きなものを正当化しようとしてしまう癖が人間にはある、という経験則がもたらした疑いである。だから、哲学を有益なものと看做さずに捉えてみよう、という趣向に以前から魅力を感じていたのだった。素敵だと思ってしまうものを、素敵でないものと仮定して捉えなおすことで、やはり素敵だった、という結論に達したがっているのだと思う。素敵だ、という確信を欲しがっているのだ。無論、もしかしたら『素敵じゃなかった』という結論に達してしまう可能性だってありうる。が、だけどそれもありだろう、と思っている。妄想の排除も同じくらい嫌いではないからだ。