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《88点》マージナル・オペレーション第3巻(芝村裕吏)

印象記 終了記 読書記

マージナル・オペレーション 03 (星海社FICTIONS)

マージナル・オペレーション 03 (星海社FICTIONS)

 大勝が難しい状況で被害を抜本的に減らすには戦いを回避しないといけない。戦いを回避するには合意を目指さないといけない。戦争は意見の相違で始まり、意見の一致で終わる。意見の一致が合意という奴だ。
 敵と何を合意すべきなのか。そもそも敵がどんなものなのかを考えないといけない。
 僕はメモを書いた。敵。NGOによると悪徳な民間軍事企業だという。僕は犯罪組織だと思っている。二つとも似たり寄ったりだが、民間軍事企業側にいる者としては、違うと声を大にしていいたい。
 目指すものは同じ。お金。ただ手法は違う。僕たちは道義的に悪いことはしても法は可能な限り破らない。犯罪組織は法を破るから犯罪というのだ。
──P.106

 良くない流れだ。僕はため息をつく。敵が連続してアタックをかけるか。それが次の問題になる。
 その線はないと考えつつ、僕はバックアップの方の戦術単位と合流することにした。守るしかない状況ではあるが、NGOの持っている情報から敵の配置などを掴んで出来れば報復攻撃に入りたい。攻撃されっぱなしというのが一番損害が増える。
 殴り返す限りにおいては敵も損害を嫌がって均衡状態に入りやすい。単なる恨み返しという以上に、報復攻撃には意味がある。
──P.122

▼▼最近の日々の楽しみになっている。芝村裕吏『マージナル・オペレーション』シリーズ第三巻。夢中になって読み終えた。夢中で読んだ、を、最近『続・終物語』に対しても向けて言ってたと思うけど、連続することを諦めて納得しちゃうくらい楽しめた、ってふうには言えるかな。▼▼シビアを切り抜けることに愛を見る、ような世界観を好む著者なのは知ってるので、いずれこういう風味も来るだろう、とは想像してたけど──甘さと油断を糾弾するような話しっぷりを見せるだろうと思っていたけど、実際に遭遇すると流石に改めて息を呑むな、と思った。▼▼五冊で完結させる、と認識してて、三冊目にこの雰囲気を置く、のは、判る。よかったと思う。
▼▼日本では居場所を見つけられず、脱出するように出国して、降り立ったタイで新たな依頼を受ける軍事オペレーター・アラタ、と、子供達の話。▼▼起点となる依頼から終盤の展開と今後の展開を匂わせていく雰囲気作りが、うまかった。