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掟上今日子の備忘録(西尾維新)

掟上今日子の備忘録

掟上今日子の備忘録

「いえ、隠館さん、調査を繰り返す必要はありません。致命的というなら、犯人はひとつ、致命的なミスをしました」
「え?」
「ミステリーにおいて、探偵に手を出すのは反則です。向こうが反則を使うなら、こちらも反則を使えます」
 今日子さんは穏やかに微笑んで言った。
 けれども、その目はまったく笑っていなかった。
「どうせ失われるものだからと、軽い気持ちで私の記憶に手を出したのならば、犯人には必ずその報いを受けてもらいます。戻りましょう、隠館さん。私が一秒で、あなたの疑いを晴らし、この事件を解決してさしあげます」
──第一話 初めまして、今日子さん

▼▼寝たら記憶がすっかり消えてしまう探偵と、常に犯人や黒幕と目される善人の話。一冊目。百万円を人質に一億円を要求される、推理小説家の原稿探しゲーム、99冊の著書ぜんぶ読んで推理、など、おのおのの事件の雰囲気がだいぶよかったのはあるし、語り部の隠館厄介(かくしだてやくすけ)の役柄や役どころもよかったし、総じて、楽しんで読めたと思う。
▼▼正直なところ、物語予測において、隠館厄介の恋心が活かされる気があまりしていなかったのだけど、意外と素敵な活かされかたをしていて、無慈悲でなくて、流石だな、と思った。恋愛模様の楽しさ、っていうのを、西尾維新小説に覚えられたのは、とはいえ初めてかも。掟上今日子に対する特別視のようなものが、物語の進行に合わせて、ちゃんと払拭されていって、魅力的、と思えたところもあって、よかった。
▼▼掟上今日子が掟上今日子である理由、紺藤さんから聞いた過去(かもしれない)エピソード、彼女が探偵をやっている理由、隠館厄介との今後、最後の事件の真相? などなど、まだ、読みたい話、伏線、が沢山残っている気がして、続篇も読みたいものだ、って思った。すでに出てるのでKindleで買った。
▼▼隠館厄介がもっと複雑で厄介で大事な「疑われかた」をする話も読みたかった。全人類を敵に回してもおかしくないような設定ではあるし。