文学を改めて認識し直したくなったのと、西尾維新の対談本の対談相手の豪華さ、ゲーム実況の本/ジュンク堂

新しい文学のために (岩波新書)

新しい文学のために (岩波新書)

 それを次のように説明すれば、自分では小説を書こうとせぬ人びとにも理解して貰えるかもしれない。若い友人から、習作の批評をもとめられるとしよう。その際、若い友人は、その作品に不安をいだくとともに、自信を持っているはずだ。そこで、不安の側からいっても、自信の側からいっても、彼は他人の批評に傷つきやすく、自己防御的になっている。殻をかぶっているような友人を、決して全否定するのではないと納得させ、むしろかれ自身にその殻を打ち壊させて、自作の書きなおしにむかわせるようにするには、まずいちいちの言葉のレヴェルから話しはじめるほかにない。つづいてひとかたまりの文章のレヴェル、そして作品全体のレヴェルへと、様々なレヴェルにおいて検討してゆくのが抵抗の少ない道すじである。
 しかもこのように様ざまなレヴェルにおいて話し合いをすすめるとき、既成の作家と、これから仕事を始める若い人との間の、いわば権威的な障壁が自然ととりはらわれて、おたがい自由に、文学表現の言葉の持つ独特な響きに耳を澄ますことができる。そして改めてその響きを鮮明にし、増幅してゆく知的な作業の楽しみを、共有することもできるのである。
──P,24「3 基本的な手法としての「異化」(一)」

西尾維新対談集 本題

西尾維新対談集 本題

  • 作者: 西尾維新,木村俊介,荒川弘,羽海野チカ,小林賢太郎,辻村深月,堀江敏幸,講談社BOX
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/09/03
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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小林 文字を意味として捉えるほかに形として捉えるとおっしゃっていましたけれど、僕もそこにまったく同じ面白さを感じているんです。
西尾 この〈物語〉シリーズの場合でしたら、最初は『化物語』『偽物語』『傷物語』と「にんべん」で縛って、そのあとはバリエーションとして『猫物語』と「けものへん」にしてみたり、『傾物語』『花物語』『囮物語』では『化物語』の「化」の漢字が入っているようにしてみたりしたんです。
小林 へぇー、あ、ほんとだ。いやぁ……へんな人だねぇ(笑)。僕以外にもこういう人がいるんだというのはうれしくなります。
西尾 だから、「小林賢太郎テレビ3」の、お題が「日本語」という中でできたストーリーが好きなんです。ただ、小林さんは日本語でいろいろやるというのもされてきましたが、一方でこのあいだの「P+」の舞台のように、日本語を使わない縛りの中で、いうなれば全世界に通じるものを作ったりもするわけですよね。あれは小林さんにとってはどのような体験でしたか?
小林 さっき、台本の言葉を一文字でも減らしたいと言いましたけれど、それでああなったという感じですね。小説なら「そうです」というセリフを会話で言わなければならない時も、舞台なら、うなずく動作で表現できてしまうわけです。しかも、僕はそうやって言葉にしない方法で伝えられるのなら、そっちのほうがいいと思っているんです。
──P.59「小林健太郎」

▼▼池袋に行ったのでジュンク堂に寄って物色した。▼▼最近村上春樹小説を読んだことにより文学が気になっている。文学という学問が持つ思想や手法や対象が、以前からぼやけているので、多少は明瞭にできないかな、という気持ちだ。読んだ村上春樹の小説に対して「やっぱり単純に話がおもしろいだけではないようだ……」と改めて感じたので、文学における不明瞭さの整理から、この「ただおもしろいだけではない」に対する理解を深められないかな、と期待した。▼▼文学を理解してみせることで小説をよりよく読めるようになったりするのかな? っていう期待濃いめの疑問文は、実際のところ、だいぶ昔から抱いていたりする。期待しすぎでは? 文学に対する誤解では? ってツッコミも毎回思っている。文学ってのは別に小説をよりおもしろく読ませるようにしてくれるようなものではないだろ、っていう戒めは毎回思ってしまうし、聞いたこともある。が、文学ってのは時に小説をよりおもしろく読ませてくれる、っていう薦めも見かけたことがあるかと思う。楽しくないことを、文学ってものに押し付けて──甘えて、ただじぶんが真理を知らないから、なんて言い張るのは駄目駄目だが、まあ活かせるならきっと素敵だ、なんて思っておけるところなんだろう。と同時に、場合によるし人によるんだろう。
▼▼人による、側で言うなら、複数の視座から物事を見て「物事の側面ごと」の解釈を適当に調合したり響き合わせたり重ね合わせたりするのは、非常に好きだ。好みに合う。だから、文学目線はじぶん向きではあるかな、とは思えてる。
▼▼数日前に軽く読んだ『文学とは何か 上』での文学の解説が、まあまあ難解で、若干手前から説明してくれてるものはないかなー、って思ってたら、満たしてくれそうな雰囲気があったので『新しい文学のために』を買ってみた。▼▼西尾維新の小説というか西尾維新の言葉が好きで、最近は西尾維新当人にも興味が湧いているので、対談集が出る、と聞いて喜んでた。買った。対談相手は、小林賢太郎/荒川弘/羽海野チカ/辻村深月/堀江敏幸の五名。羨ましすぎるなこれ……、と正直思った。羨ましい!と思えるほど好きな五人の話が聞けるっていう喜びだって当然あったわけだけど、まあ置いといて、なかなかの嫉妬心が湧いたなと思った。まあまあ好ましい嫉妬心かな、とも思った。

ゲーム実況の中の人 3冊目

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  • 作者: 『ゲーム実況の中の人』の中の人
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
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▼▼ゲーム実況者「いい大人達」が好きなので読んでみたくて買った。