《78点》世界で勝負する仕事術(竹内健)を読み終えた

世界で勝負する仕事術 最先端ITに挑むエンジニアの激走記 (幻冬舎新書)

世界で勝負する仕事術 最先端ITに挑むエンジニアの激走記 (幻冬舎新書)

▼▼物理学研究を続けようとしていた若者が、ある出逢いによって東芝に就職を決め、技術開発や製品開発に携わる中で、経営に対する知識も今後は必要になるだろう、と考えを改め始め、留学を決意し、MBAを習得し、冷遇を覆すようにして挑戦を続けた、なんて言える説話が読める。東芝時代に現状のフラッシュメモリ技術全般の基盤を築き、現在は研究者として東大で研究を続けている。初めて聞く情報が多くて楽しかった。技術畑で明らかな実績を残していて、なおかつ、MBA的な経営学知識と視点も有していて、っていう人物の話が聞ける機会は稀有だと言える。おかげで楽しかった。
▼▼推薦文を読んで、買ってみた。完売気味で、結構探した。
▼▼研究や開発における難しさ、半導体の難しさ、社内政治と経営の難しさ、研究者の難しさ、なんてあたりが、見事に組み合わさっていて、整理しながら語られている。複雑かつ困難な話で、だからこそ、読み取って解きほぐすことで、多様で沢山の解釈と理解と教訓を引き出せるな、と思った。抽象した教訓をわかりやすく明示されるより、渾然一体な情報から自ら教訓を引き出し抽象化したほうが、馴致も順応もしやすいぜ、って思う瞬間は結構あるので、時折、困難に立ち向かい乗り越えた話を聞くのはよいな、と思った。
▼▼技術だけを踏まえるのでは駄目でマネジメントの問題も知る必要があるのだろう、と判断してMBA留学を決める場面と、留学中のMBA的な学びの内容、半導体ビジネスの特徴、敗北事業部の人間達が流れてきて上司になることの理不尽さ、あたりの話が、強く響いたかと思う。記憶に残っている。エネルギーを貰えたなという読後感だ。

 それとともに新しい半導体製品の設計も進行していました。お話ししたように半導体は最初の段階では、製品の完成形が見えていません。工場や製造装置の立ち上げと同時進行で設計図を煮詰めていきます。その点が、ほかの工業製品とは大きく異なります。
──P.68