子ひつじは迷わない-走るひつじが1ぴき(玩具堂)を読み終えた

子ひつじは迷わない  走るひつじが1ぴき (角川スニーカー文庫)

子ひつじは迷わない 走るひつじが1ぴき (角川スニーカー文庫)

▼▼学園生徒会相談物かつ日常の謎型ミステリである。安楽椅子探偵型でもある。善行とおせっかいの境界線問題を投げかけている、って要素が強めに見える。好きな問いだ。以前から解決したがってる、って言える。▼▼最終話の第四話がわりと好きかな。回答に関しては好きじゃない要素もありつつ、でもまあ好きだ。▼▼米澤穂信小説における青春系問題と、類似の問題意識を見出せたりもしつつ、解決目線の焦点は少し違うかなー、とも思った。▼▼おせっかいの正当性を如何に考えましょう、とは以前から考えてて、問題視してて疑問視もしてて、沢山の意見を聞きたがっているので、物語に混ぜ込まれている関連要素の問いやら迷いやらを見て、見事ツボにはまっている。楽しめてしまってるなと思う。▼▼恋愛要素は今後の展開あるのかなー。別になくてもよいのだけど、あるなら、現状の人物配置は非常に好みだ。最終話の先輩の絡みの些細さに心惹かれている。▼▼図抜けて素晴らしい出来か、と問われると、若干は答えに迷うけど、図抜けた素晴らしさに繋がりうる味わいがあるか、と問われたら、素直に頷ける。物語が丁寧かつ巧みで、丁寧さが見せる安直さを壊していきそうな思想や判断も垣間見えるからだ。

「今のたとえはよく解りませんけど……ありがた迷惑と言う場合、『ありがた』の部分……つまり善意は相手に伝わっているわけですから、行為の主たる目的は果たしているのではないでしょうか」
 斬新すぎる慰め──すがすがしいまでに相手の実害を度外視している──に、成田くんはえらく複雑な顔で返答に困っている。
 佐々原さんのフォローは義務的で内容が適当なのだが、妙に的を射ているところがあって面白い。なるほど、善行と言っても、言葉のウェイトを「善」に取るか「行」に取るかで、その全うの意味合いは変わってくる。
──P.125

 わたしはびっくりしてしまって、なんでそんなことをするのか、それは「わるいこと」じゃないのかと混乱しました。でも、家に帰って、落ち着いてみると──あの子もきっと、大人になったら同じになるんだと思いました。だって、もう、「それはわるいこと」だって知ったのだから。
──P.186

「でしょうね。でも、数度の成功は甘い罠に過ぎない。ギャンブルとおんなじ──結局、収支で言えば負けが込む」
──P.218

《79点》
[なるたまいちろう][なるたま]「たまくん][安楽椅子探偵][登場人物の名前の出しかたが物語巧者の匂いを感じさせる][前に名前だけちょっと出てきた、的な印象付けが巧い][傷つけること、と、傷つくこと、と、時に傷つけないかもしれないこと][二人の鹿野さん][諸葛孔明]宇宙怪獣エヌマジク][生理的早産][無関心になれない、無関心でしかない、無関心になりたい][生命でない命][なるたま君は、けど、現状おせっかいが巧くいきすぎだとは思う][まあ「踏まえて」ではあるのだろうけど][挫折にも期待][相談じゃないパターンにも期待]