銀河不動産の超越(森博嗣)を読み終えた

銀河不動産の超越 Transcendence of Ginga Estate Agency (講談社文庫)

銀河不動産の超越 Transcendence of Ginga Estate Agency (講談社文庫)

▼▼距離を置いて「人間」を楽しんでいる人物を、緩やかかつ巧く、描くのが森博嗣という小説家だ、という、煎じてない言葉を思いついて、けど、類似の雰囲気を描く人ってほかにもいるよなー、と判断できたため、図抜けた好意を抱いている理由はほかにもあるということなのだろう、という認識で考え終えてみた。以前から非常に好んでいる。▼▼シリーズでも短篇でもない一冊単品の小説を複数書いてて──複数読んだことがあって、同じようで独特な味わいを頻繁に味わわせてもらっているなあ、と感じた。なんていうかこう、振り返っている雰囲気になる、のだ。辿り着いた楽しい場所、から、同じくらい楽しかった場所、を、微笑みながら振り返っている気分、になる、というかなー。なんていう稀有な小説家な気がしてる。▼▼あと、恋愛面注視で物語を眺めてたら、非常に好きな恋愛が描かれている、ような、っていう気がしてきた。無論、コレ恋愛物って言ってよいのかな? という疑惑の声に異論はなくて、変な話、っていうのが第一印象ではある。
《79点》

「うん、やっぱり、一人っていうのは、基本的に寂しいと思う」山田さんは、そう言いながら、窓の外へ視線を向ける。たしかに、彼女にしては珍しい、ちょっと翳りのある表情が窺えた。「生きていると、あるよね、そういうときって」
「寂しいときがですか?」
「そう、そんなときに、どうやってそれを乗り越えるかで、そのあとの人生が決まってしまう。そうじゃない?」山田さんは、島田さんに同意を求めた。
「うーん、私は、あんまり寂しいって思わないから」島田さんは微笑んだ。
──P.102

 炬燵でお茶を飲みながら彼女と話をした。全然話が弾まない。油粘土で作ったスーパボールみたいなものだ。しかも、話した内容がまったく頭にインプットされない。なにしろ、私の頭の中のサブワーキングでは、どうしたら彼女を帰らせることができるのか、を審議するグループと、もしも万が一彼女がこのままここに居座ることになった場合、私がどこに出ていくのかを考えるグループと、出ていかない場合に彼女に寝場所を与えるにはどうすれば良いかを考えるグループに分かれることが決まったところだった。三グループとも議長を選出する投票をしている。困ったことだ。時間はどんどん過ぎていく。このままでは、もう地球に帰れなくなるのではないか、という不安が過ぎった。違う、火星に来ているわけではない。
──P.173

[★★★★][エネルギッシュでなくても][気怠い][気合い][おおきな部屋に住む][おおきな部屋に住める][運命の出逢い][運命の出逢いではない][音楽家][芸術家と小説家][室内遊園地][ギタリスト][ピアニスト][佐賀さん][銀亀社長][珍しめな世界観の小説家だと思ってて、そこから見たら何が見えてるか、を最近は注力して描いている気がする]