ヴァルプルギスの後悔-4巻(上遠野浩平)を読み終えた

ヴァルプルギスの後悔〈Fire4.〉 (電撃文庫)

ヴァルプルギスの後悔〈Fire4.〉 (電撃文庫)

▼▼初期頃の登場人物の復帰率や影響がおおきくて、比較的記憶が鮮やかだったので明瞭明白に楽しめた。記憶が朧気であったら楽しみは半減していただろう。かつての心酔的な読み返しが功を奏したぜ、と言える。▼▼人類判定者エコーズと唯一人意志を通わせ、最初の物語で無自覚なまま世界を救っていた紙木城直子なんて、単純に憶えていたどころかむしろブギーポップ世界の原点だろ、って思っているフシすらあって、なので登場するだけで嬉しかった。なおかつ、改めて違う面を見せてくれて、改めて深めてくれて、非常に幸せだった。▼▼魔女戦争は『紫骸城事件』が最初かな? 魔女/少女の喧嘩もいったんは終結して、諸々の影響が世界に残った。ふと、登場人物達の「人生」を追っかけてる雰囲気を覚えた。珍しい読書感だと思う。いやほんとうにすっごく珍しいかんじだ。

『心の中に大切なものを持っていない者はいない。しかしそれを自覚したときから、それはもはや大切なものではなく、心を縛るものに変わってしまう』
 何かに取り憑かれたように、同じことを繰り返す者がいる。どんなに前向きに生きている者でも、どこかに惰性がある。それがないものはいない。その惰性は世界を覆っている。それは人々の祈りが空を包んでいるとも言えるし、呪詛で満ちているとも言える。
──P.13

『人は自分の心さえ自由にはできない。抑圧から解放されたと思っても、今度は解放されたからそれに見合うものがあるはずだという強迫観念にとらわれる。そこに終わりはない。何かを成し遂げたと思うことが次なる傲慢につながり、それが心の中の新たなる敵に変わる』
──P.241

「あんたが視ているものは、正にその根っこなんじゃないのかな。人が、世界の流れの中で、どういう風に踏ん張ろうかっていう、そういうもので──つまりは話が逆なんだと思う」
「逆、って──」
「あんたは、人に確固とした意志がないことを嘆いているみたいだけど、そんなものは最初からないんだと思う。世界は流れていて、その中で人は必死に、水草のように根を伸ばしているんだよ。揺れて当然なんだ」
 凪は少し微笑んで、
「あっちこっちに根を伸ばして、どんな状況にも対応できるようになるのが、きっと正しいんだよ。あんたの能力はそのための指針であって、別に他人の適当さを見抜くためにあるんじゃないと思う」
──P.261

《90点》
[世界最強、世界最恐を相手取って戦う炎の魔女]「の意志、世界][炎の魔女と氷の魔女][炎の魔女という名を手に入れる(あるいは手に入れない)物語][本物の炎の魔女][カレイドスコープ][オキシジェン][パール][紙木城直子][九連内朱巳]