世界は称賛に値する

日記を書きます

円環のパラダイム(瀬尾つかさ)を読み終えた

円環のパラダイム (一迅社文庫 せ 1-3)

円環のパラダイム (一迅社文庫 せ 1-3)

▼▼突然分断された地球を舞台にした物語で、サイエンスフィクション色が濃いめだ。世界は区分けされ、各個で異世界に取り込まれさえして、崩壊している。殺伐とした世界で懸命に頑張っている登場人物達はかなり好きだ。過酷な旅路を乗り越えてきた主人公が安易なる「安息の地」を忌避してしまうあたりもよい。若干の物足りなさが胸中に残ってしまっているのは、過密に抽象的なサイエンスフィクションが好きすぎるせいだろう。些細な一点の染みが静かに拡がって、世界が次第に塗り替えられていくような──侵蝕されていくような、物語が、好きなので、新しい生態系と謎の歴史が組み込まれた、って言える現状は、若干物足りないのだった。塗り替えられるであろう要素が垣間見えているのも物足りなさを助長しているかな。続きが出て欲しいっていう話だ。

「先輩は、けっして叶わない願いを叶えるために、働いています。そのおかげでみんなは、幸せになれるんです。だったらそれは……悪い願いじゃないと、わたしは思います。だから……」
──P.48

《79点》