「1」君が僕を
- 作者: 中里十,山田あこ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/07/17
- メディア: 文庫
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昨日、そのとき、私は娘と一緒にバスに乗っていた。娘を歯医者に連れていった帰りだった。まだ日の暮れない午後、空席の目立つバスの中、二人掛けのシートに陣取り、娘を窓側に座らせていた。娘は九歳になったばかりだ。動物のあどけなさを日に日に失っていく一方で、人間らしさはまだ猿真似の域を出ない。
そのとき、娘が私に尋ねた。幼稚な意地悪をしかけるつもりの顔で。
「どうして空は青いの?」
そのとき、私の心は、二十年以上も昔、中学三年の冬へと飛んだ。▼▼以前に「すごい」って言葉を読んだことがあって、買おうかなと考えていた。曖昧な言葉になりそうだけど、ライトノベルの好きなところは、厨二病とか中二病と言われるものの中に潜む「真剣さ」を際立たせてくれるところ、って少し思っている。青春小説、学園物、ジュヴナイル、あたりが持ちうる要素が、濃そうで、楽しそうに思えている。
「2」戦う司書と恋する爆弾
戦う司書と恋する爆弾 BOOK1(集英社スーパーダッシュ文庫)
- 作者: 山形石雄,前嶋重機
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/09/22
- メディア: 文庫
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「コリオ=トニス」
と、暗闇の向こうで、誰かが言った。
コリオ=トニスは顔を上げた。何も見えない。コリオは、意志の床にへばりついた頬を引き剥がした。
胸が痛み、息をするごとに胸の奥で風が通り抜ける音がした。口の中が熱く、粘膜は乾ききり、下を動かすと口の中で何かが剥がれた。ひどく痛い。だが、そんなことを気に留めている心の余裕はコリオにはなかった。
どうにかして手を動かして、頬にこびりついたよだれをぬぐおうと、コリオは無駄な努力をした。腕はべとべとに湿った縄で縛られていた。後ろ手に縛られているコリオの手は、仰向けにされた体の下で押しつぶされ、指の一本すら動かなくなっていた。
「コリオ=トニス。人間とは何だ」▼▼以前買おうと思って買うのを躊躇してしまった小説で、最近評価を改めて見掛けるようになって、高確率で楽しいものだろうな、と思えた、ので買ってみた。思えるだけの強い称賛と形を貰っていたと思う。世界設定や世界観に異端や奇形を感じるのだけど、まあ勝手な想像かな。油断してない人達の話のような想像もできている。好きなものそうだ。