たま◇なま 生物は、何故死なない?(冬樹忍)

たま◇なま ~生物は、何故死なない?~ (HJ文庫)

たま◇なま ~生物は、何故死なない?~ (HJ文庫)

「そうだな、私はこの形態になって、きさまらの感覚を体験するようになって、『自覚』した。確定しよう。きさまらは『悲しすぎる』」
――P.20

▼▼疑問文「君は何故生きるのか?」があまり好きじゃなくて、問いと検証に意味も意義も見出せないなら、駄目な話なのかなあとは思えた。で、わりと好きなのでわりと好きと思えた。けれど、軽薄で陳腐な「問いと答え」だよなあ、と思えたところもあった。解析論理は硬くも深くも緻密でもない、と言えてしまうのではないか、と思えたのだった。現時点で運良く巧く希望を見出せてしまうような精神基盤を持っている人間にしか結局は通用しない解釈であろう、とか思えたのだった。▼▼通用し説得できそうなこと、と、物語のおもしろさ、は、無論関係ない。せめて、あまり関係ないだろう。楽しみを見出せないところではないと思うが、見出せなくても楽しめるところだと思うのだった。▼▼意外に楽しめたのは、だから、死生観とかではなくて――死なない理由とかではなくて、死ぬのはいやだ……! って「ふと」思えてしまった鉱物生命体な少女の、動揺や困惑が――実際問題なんだかんだで「死ぬのはいやだ」と既に思えてしまっている自分にはだからこそ逆に全然理解できない「突然「死にたくない」衝動を理解してしまった者の畏怖と歓喜と描写と解釈」が、楽しかったのだ、って言えるかなー、なんて考えていた。