あなたの勉強法はどこがいけないのか?(西林克彦)P.31

あなたの勉強法はどこがいけないのか? (ちくまプリマー新書)

あなたの勉強法はどこがいけないのか? (ちくまプリマー新書)

 さて、長方形の公式を「教わった」子どもたちが、これらの応用問題、とくに(c)を与えられて「できない」時に、みなさんは、その理由をどのように考えるでしょうか。長方形の面積の公式以外の知識、とくに「引きすぎに対応する」補助知識が足りないからだと考えるでしょうか。それとも、「応用力」や「思考力」が不足しているからだと考えるでしょうか。
 当然ですが私は、それを「引きすぎに対応する」補助知識が足りないからだと考えます。自分でその補助知識を見つけれた子どもを別にすれば、教えられていないのだから、できなくても当然です。
 しかし、子どもたちは、このような応用問題が「できない」時、「教わっているはず」なのに「できない」と思いがちです。応用問題を解くためには、そもそも補助知識が必要で、それが不足しているだけなのに、それを、「応用力」や「思考力」というような漠然とした能力が不足しているからだと考えてしまうのです。
 このような能力のなさが、できないことの理由だと考えてしまうと、先の苦手のところでも言ったように、子どもが、その分野や算数全体を苦手だと思うようになるのは当然の成り行きでしょう。しかも、不幸なことに、子どもが応用問題をできないときに、大人の多くも「応用力」や「思考力」がないからだと考えているように思えます。もしそうであれば、大人が子どもの苦手意識を助長していることにもなりかねません。
 みなさんの中にも、応用問題が解けないことがきっかけで、算数や数学が苦手になったという人がいるのではないでしょうか? そのときに、自分の応用力ではなく補助知識の不足と考えることができていたら、どうだったでしょうか?
――P.31