記憶力を強くする(池谷裕二)

記憶力を強くする―最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方 (ブルーバックス)

記憶力を強くする―最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方 (ブルーバックス)

 できる限り語呂合わせの意味している状況を具体的に想像するのです。想像すれば想像しただけ、はるかに記憶に残りやすくなります。「想像は知識よりも重要である」とは天才アインシュタインの言葉です。もちろん、これがシナプス可塑性の「連合性」を活用した記憶術であることはいうまでもありません。
 すでに述べたように、ものごとを理解し連合させると、その分覚えやすくなりますから、単一のことを記憶するときでも、できるだけ多くのことを連合させたほうがよいということになります。このように事象の内容を連合させて、より豊富にすることを「精緻化」といいます。常に精緻化を心がけていれば、記憶がたやすくなり、かつ、その記憶も有用なものになります。
 そして、さらに重要なことは、ただ単に知識的な連合に努めるより、自分の「経験」に結びつけて記憶したほうがよいということです。なぜなら、自分の体験が関連してくれば、その記憶は「エピソード記憶」となるからです。エピソード記憶には意味記憶よりも優れた点があります。それは、初めから意味記憶として覚えるよりも「忘れにくい」ということ、そして、いつでも「思い出す」ことができるということです。とくに後者の特徴は重要です。必要なときに思い出せないような覚え方をして、テスト中に困った人もいるのではないでしょうか。
 エピソード記憶を簡単に作る方法は、覚えた知識(意味記憶)を、友達なり家族なりに説明してみることです。すると「あのとき教えたところだ」「そういえば、こういう図を描いて説明したかな」といった具合にエピソード記憶になります。
――P.201