- 作者: 横山雅文
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2008/05/16
- メディア: 新書
- 購入: 4人 クリック: 112回
- この商品を含むブログ (24件) を見る
私は、本書において悪質クレーマーの増加の背景として、消費者保護法の施行による消費者の権利意識の高揚、企業不祥事による企業に対する不信、インターネットの普及によって消費者が武器を持ったことの3点を挙げました。
しかし、私個人の感覚かもしれませんが、悪質クレーマーの潜在意識には、この企業の顧客主義の欺瞞に対する怒りや侮蔑があるように思います。
「そんなに、ご体裁のいい嘘を言い続けるのなら、それにつけ込んでやる」という心理です。
行き過ぎた顧客主義によって、消費者が増長してクレーマー化したという考えもありますが、実は、そうではなく、消費者がこのような欺瞞に怒ったり、侮蔑したりしていることが悪質クレーマーの激増の真の原因ではないでしょうか。
――P.210
《★★★★》満足
▼法律家つまり弁護士が、法的観点からクレーマーについて語っている。法を背景にした対処法に重心が置かれている。普段から専門的に分析を行っているようだ。非常に参考になった。具体例もわかりやすかった。法律の適用はわりと恣意的なのかも、という認識はあったりして、だから、活用技術においても、同じような恣意性はあるように思えた。抽象的で恣意的な工夫を要する指針がいくらかはあった、ということだ。が、問題はほとんどなかったと思う。逆に理解が深まった、と言える。指針や重心をこのあたりに置いておけば、法的観点からの状況説明として、問題がなくなるんだろう、ということが、だいぶ見えやすくなってはいたからだ。運用時に、恣意的で曖昧な部分があるのなら、曖昧ゆえに、見極めはどう行うことができるのか、ということが、見通しやすかった。のだ。