モノケロスの魔杖は穿つ2(伊都工平)

モノケロスの魔杖は穿つ〈2〉 (MF文庫J)

モノケロスの魔杖は穿つ〈2〉 (MF文庫J)

「立木クンは誰かのためなら、何でも始めてしまう人。真名辺さんは理屈さえ通れば、やはり何でもやってしまう。でもそういう人の国って『醜い』ですよ。それはあくまで彼らだけの欲で、でもそれでいいと思っている」
「欲は必要だよ。生きていくのは悪いこと?」
「いいえ。でもそのために、友を、他者を、踏みつけにしてはならない。立木クンと真名辺さんの言うことは、本当はちっとも、まともなんかじゃない。……そういう弱さというのを、人は持ちえるんだと思います。そして国というのが人と同じなら、人の持ちえる弱さは、国も持ちえる。でもじゃあなぜ、立木クンの王国がそうなってしまったのかと、考えたんです」
 チビ先生は首を傾げた。
「答えは出た?」
「はい。ボクが何もしていないからです」
 律は答えた。
「ボクがおかしいと思うことを、立木クンや真名辺さんに期待するのは、間違いなんです。そして王国から判断が欠落しているのもまた、事実だったんです。このままだと、王国は道を誤ります。――国が腐る。この危機から仲間を救うため、ボクはボク自身の役割を果たさねばならない」
「でもその役目は辛いよ? これからあなたの進む一歩一歩が、二度と引き返すことのできないものになる」
「理解しています。でも失ったという後悔の気持ちは、いつまでも必ず追いかけてくる。だからボクは、できる方法で最善を尽くします」
――P.193

《★★★★》
[最高点ギリギリ][濃縮世界観][違和と素敵の言語観]